盗品故買の帝王・ソロモンズ
佐藤 唯行 2020/8/20 写真|Viewpoint [会員向け]
獨協大学教授 佐藤 唯行
英文学の巨匠ディケンズの小説「オリヴァー・トゥイスト」の中には、フェイギンというユダヤの悪者が登場する。子供らにスリの技を仕込み、盗品を買い取る故買屋だ。実はフェイギンには実在のモデルがいた。アイキー・ソロモンズ(1785~1850)だ。ソロモンズが壮年の美男であったのに、フェイギンは不快な老人という違いはあったが、それは物語の性格上、フェイギンの悪役らしさを強調するための設定だったのだ。東ロンドンの貧しい移民家庭に生まれたソロモンズは、14歳から悪仲間と徒党を組み、スリ稼業を始めた。
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