全学徒隊追悼碑に説明板が追加
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
沖縄戦で犠牲になった沖縄県内旧制師範学校・中等学校21校の学徒の人数を記した説明板が糸満市摩文仁の平和祈念公園内に完成し、14日に除幕式が行われた。
2年前、「全学徒隊の碑」が建立された。そこには各学徒隊の戦死者数が明記されておらず、21校の元生徒らでつくる「元全学徒の会」のメンバーが何度も県議会に陳情を行い、説明板の追加にこぎつけた。
碑の隣にある説明板には、各校の戦没者数がそれぞれ記されており、21校で計1984人に上る。動員された学徒だけでなく、疎開中や家族とともに避難している際に戦闘に巻き込まれて死亡した生徒も含まれている。
学徒隊の中では糸満市にあるひめゆりの塔が有名。独自の資料館もあり、しばしばクローズアップされるが、他の学徒隊の実態についてはほとんど知られていない。全学徒隊の碑が建立されるきっかけになったのは、ひめゆりの塔のすぐ隣にある梯梧(でいご)之塔にも光を当ててほしいとの思いから、土地所有者の仲宗根久子さん(82)が提案した。仲宗根さんは、「でいごレストラン」の経営もしている。
第3回の合同慰霊祭を兼ねた除幕式には、約80人が参加した。平和宣言で同会共同代表の與座(よざ)章健さん(90)は「(説明板は)沖縄戦の実相を如実に伝える効果的な指標となり、恒久平和のとりでとなるだろう」と述べた。與座さんは、旧沖縄県立第一中学校の「鉄血勤皇隊」として学徒動員され、生き残った。
元全学徒の会の宮城政三郎幹事(90)は、「元学徒は皆90歳を越えてもう後先がない。戦死した学友を後世に伝えなければ死にきれない思いだった」と喜んだ。
平和祈念公園関係者によると、全学徒隊の碑の前を素通りする人が多く、認知度を高めるのが課題だという。
(T)