癖になる辛口ラーメン


地球だより

 現在、放映しているNHKの朝の連続テレビ小説はインスタントラーメンを生み出した実在の人物をモデルにしたもので、こちらの在韓日本人たちも海外向け衛星放送で見ている。ところで、韓国定番の家庭用ラーメンと言えば何といっても「辛ラーメン」だろう。赤い包装袋に「辛」の字が大きく印字され、いかにも辛そうなイメージだ。日本にもかなり流通していて、ある米国系倉庫型量販店ではいつも1箱20袋入りが山積みにされ販売されている。

 意外なことだが、韓国では長いこと辛いラーメンはダメという固定観念があったという。最初に登場した辛口ラーメンに「烈ラーメン」というのがあった。韓国で辛いイメージの漢字一文字は「辛」ではなく「烈」なんだとか。後発の会社が「辛」という漢字を使用し、価格を他社平均の2倍に設定したにもかかわらず、結果的にこちらの方が爆発的に売れた。

 辛ラーメンを開発した会社のオーナーの名字も「辛」だったので、わざとそれに引っ掛けた面もあったようだ。オーナー肝煎りの辛ラーメンは発売当時のキャッチフレーズが「男を泣かすラーメン」。刺激に強い(?)韓国男性といえどもまだ辛いラーメンに慣れていなかったので最初は辛さに涙しながら食べたのだろうか。

 韓国では辛ラーメンを凌駕(りょうが)する激辛ラーメンが続々と発売され、昨今、激辛ブームの日本にもやがて上陸するかもしれない。キムチをはじめ「食の韓流」が食卓をにぎわす中、「辛いけど美味い」が癖になっている日本人をますます虜(とりこ)にしそうだ。

(U)