保革が一騎打ち、那覇市長選告示

知事選の対決構図再び

 任期満了に伴う那覇市長選(21日投開票)が14日、告示された。新人の前県議・翁長政俊氏(69)=自民、公明、維新、希望推薦=と、社民、共産両党などの支援を受ける現職の城間幹子氏(67)とが立候補を届け出た。県知事選に続く保革の一騎打ちとなる。対決の構図と三つの争点をまとめた。(那覇支局・豊田 剛)

「政策実現力」で勝負 翁長政俊氏

新知事効果を期待 城間幹子氏

構   図

保革が一騎打ち、沖縄県知事選の対決構図再び

 翁長政俊(おなが・まさとし) 1949年7月1日、石垣市生まれ。駒澤大学法学部卒。那覇市議2期を経て、96年に県議に初当選し、現在5期目。那覇市収入役、自民党県連会長などを歴任。

保革が一騎打ち、沖縄県知事選の対決構図再び

 城間幹子(しろま・みきこ) 1951年1月20日、伊是名村生まれ。宮城教育大卒。市内中学校長や香港日本人学校中学部校長、那覇市教育長、同副市長を歴任。2014年11月から現職。

 翁長氏は、中道保守4党の推薦を受ける。知事選で佐喜真淳氏を支援した枠組みと同じだ。4年前の那覇市長選で自主投票だった維新を新たに取り込んだ。4年前は、自民市議が分裂したため、苦戦が強いられたが今回は自公維の市議はまとまって応援する。

 一方、城間氏を支援するのは、知事選で玉城デニー氏を支えた共産、社民、地域政党の社会大衆党、立憲民主、国民民主、自由などの革新政党と与党市議団を中心に構成する。前任の翁長雄志前知事は4期14年間、同市長を務めた。知事選では自主投票だったホテル大手のかりゆしグループも加わる。

 中道保守の翁長陣営としては、知事選と豊見城市長選で連敗しているだけに、悪い流れを断ち切りたいところ。「政策実現力」を訴えの中心に据えて現職に立ち向かう。

 一方、玉城デニー新知事誕生で勢いに乗る革新の城間陣営は、政策を前面に出すことなく、前知事と新知事との関係を強調する作戦だ。

争点1 子育て支援

 那覇市は、保育園の待機児童数や子供の医療費、給食費など子育てをめぐる環境が周辺市町村と比べると厳しい。

 2018年4月1日時点の待機児童数は138人。16年の全国ワースト3位で、2年間で約400人を減らしたが、0~2歳児の待機児童は解消されていない。一方、3歳以上は定員割れする園が目立つ。年齢枠と所在地のミスマッチが指摘されている。

 他市町村では給食費を補助するなど実質的な値下げが進む中、那覇市は年額2000円値上げした。また、妊婦・2歳児歯科検診とがんの無料検診を廃止した。

 翁長氏は、現在6歳までの医療費無償年齢を高校卒業(18歳)まで拡充することと、給食費の完全無償化、さらに、城間市政で実質廃止された健診の無料化を公約に掲げる。

 一方、城間氏は、自ら有料化した健診を「再び無料化する」と述べている。また、医療費無償化を中学3年生までの拡充を約束する。

争点2 軍港移設

 那覇軍港の移設は両者とも推進する考えだ。ただ、那覇軍港の返還は、隣の浦添市の沖合に移設することが条件。

 翁長氏は、早期の軍港移設を求め、移設後は那覇空港と返還後の港湾が一体となった物流・産業拠点としての青写真を描く。

 城間氏も「軍港の返還と開発」を公約に掲げるが、街頭演説で一切触れることはなく、記者会見でもこの問題では歯切れが悪い。1期目は軍港移設のための県と那覇市、浦添市による協議会が3年半開催できずにいる。普天間飛行場の名護市辺野古への移設反対を念頭に、「県経済の自立の阻害要因でしかない新たな米軍基地の建設に反対する」と主張する一方で、軍港移設は「協議会の推移を見守る」と容認する考えだ。日米安保に反対で在日米軍を受け入れられない共産党への配慮から、移設促進についてはトーンダウンしている。

争点3 新市民会館建設

 那覇市民会館は老朽化に伴い、2016年10月、閉館した。現在、市内中心部の小学校跡地に新市民会館の建設準備が進められているが、総工事費は約153億円。14年の基本計画段階では95億円を見込んでいたが、人件費や資材価格の高騰、設計変更などを受けて1・5倍以上になっている。予算執行をめぐっては、会館建設のための一括交付金見込み額が99億円から44億円に減額され、市の支出が28億円から93億円に増えた。

 計画では、来場者の一般駐車場は整備しない方針だ。建設予定地周辺は日ごろから渋滞が慢性化しており、地元住民や周辺の商店街が、渋滞が悪化し住民生活に支障を来すとして反対している。周辺商店街も現計画には反対の意向を示している。

 翁長氏は、市民の意見を集約した上で、市民会館建設予定地に立体駐車場を整備するなど計画を根本的に見直す考えを示す。

 城間氏は現行計画通り、市の伝統文化の発信拠点として、2020年末の新市民会館の完成を目指す。