辺野古移設 敢えて「県民投票」利用を

在沖海兵隊元政務外交部次長 ロバート・エルドリッヂ氏

 米軍普天間飛行場(宜野湾市)の辺野古移設をめぐり、9月の県議会定例会で「県民投票」の条例案が上程され、与党の賛成多数で可決される公算が大きい。県民投票は条例の公布から6カ月以内に実施するよう定めている。辺野古移設を容認する勢力は県民投票に否定的だが、これを「敢えて利用すべきだ」と主張するのは、戦後の日米関係に詳しい在沖海兵隊元政務外交部次長のロバート・エルドリッヂ氏だ。以下は同氏の提言。

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辺野古移設 敢えて「県民投票」利用を

在沖海兵隊元政務外交部次長 ロバート・エルドリッヂ氏

 県民投票をすべき幾つかの理由がある。

 まず、住民投票は法的に保証されている権利で、それを阻止しようとするのは非民主的だ。その反論として、国政選挙など間接民主主義の制度を挙げる人がいるが、これらは辺野古移設を問う選挙ではない。県知事選は、前回も今回も辺野古移設は争点の一つにすぎない。しかも、支持政党や組織、地縁血縁など利害関係に影響するため、移設の是非の指標にならない。

 次に、在日米軍再編計画の最終合意から22年がたち、それから普天間移設計画の内容が大きく変わっている。

 県民に辺野古移設の是非を尋ねた選挙は過去にない。96年、基地の整理縮小と日米地位協定の見直しを求める県民投票が行われたが、辺野古移設の是非を争っていない。その翌年、普天間の辺野古代替案についての住民投票は、僅差で反対派が過半数を獲得したが、これは名護市民にしか実施していない。

 国民が支持・理解しない政策は、持続不可能と考える。そもそも防衛は「政府の専権事項」と憲法に書かれていない。

 立場が逆転した住民投票がある。2015年に与那国島で行われた自衛隊配備の是非を問う住民投票が行われた。これは反対派が提案したが、誘致派がそれをうまく利用して圧勝に導いた。辺野古移設推進派は、受け身に立つのではなく、アピールすれば、こうした結果を導き出せるのではないか。

 これまで、政府が丁寧に説明してこなかったことが問題だ。県民投票は、政府が丁寧に正しい情報を発信していく良い機会になる。辺野古移設がうまくいくかどうかは、住民の意向よりも、政府の説明責任にかかっている。問題を隠そうとするのではなく、逆に光を当てることで解決すべきだ。(談)