県知事選の前哨戦 名護市議選 来月9日投開票

「辺野古移設」に絡み保革両陣営が激戦

 9月30日投開票の沖縄県知事選を前に、同9日は県内で26の市町村議選が行われる。中でも、普天間飛行場(宜野湾市)の移設先の辺野古が所在する名護市議選は、保革両陣営にとって「絶対に負けられない戦い」であり、知事選の「前哨戦」とも位置付けられている。(那覇支局・豊田 剛)

住民は米兵との協調望む

「辺野古移設」に絡み保革両陣営が激戦

米兵も加わって盛り上がった大綱引き=19日、沖縄県名護市辺野古区

 普天間飛行場の代替施設の工事が進められる名護市辺野古区。ゲート前では連日、移設反対派が体を張っての抗議活動を行い、住民は道路渋滞や騒音の被害を受けている。

 そんな辺野古で19日、3年に1度開催される地域最大の大綱引きが行われた。地元区民のほか、米兵ら約3000人が参加した。名護市の統計によると、4月現在の辺野古区は1114世帯で、人口は約1870人。そのうち、沖縄高専の学生が3分の1以上を占めるとされる。綱引きには総人口を上回る人数が参加したのだ。

 実行委員長の嘉陽宗克区長は「綱引きを通して住民たちの絆を強めて地区の発展につなげていきたい」と話した。本紙の取材に嘉陽氏は、「綱はなかなか動かないが、米兵が参加すると一気に動く」と話し、「辺野古11区」としてのキャンプ・シュワブの役割に期待を示した。嘉陽氏の言葉に集約されるように、地域が求めるものは対立ではなく協調と発展だ。

 綱引きで、来賓の接待をしていた辺野古在住の市議、宮城安秀氏は、過去最大級の盛り上がりに、「これが本来の辺野古の姿」と目を細めた。辺野古住民の男性は、「反対しても辺野古に移設される。とにかく早く抗議活動が沈静化してほしい」と話した。辺野古区民は9月9日に投開票を迎える市議選に期待をかける。

 名護市は今年2月の市長選で自公が推薦した渡具知氏が初当選し、8年ぶりに保守が奪還した。ところが、名護市議会は、与党13(自民11、公明2)、野党14で少数与党で厳しい議会対応を余儀なくされている。

 副市長人事案は3月議会で不同意となり、6月議会では再提出されなかった。米軍再編の進捗状況に応じてもらえる「再編交付金」を認可外保育園の助成金などに充てるという補正予算案は、野党が反対。与党が修正案を持ち越された。与党議員の一人は、「イデオロギーで市民の生活やサービスを犠牲にすることはあってはならない」と憤る。

 今選挙からは定数が1減の26となる。23日時点では、現職21、新人10、元職1人の計32人が立候補する見込みで、与党が過半数の14議席を取れるかが焦点となる。自民系会派は立候補予定者が多く、共倒れを防ぐため、票の振り分けに余念がない。野党系は、現状維持を目標としている。