サッカー沖縄キャンプに過去最多の24チーム

経済効果は12億円超、県スポーツ振興に期待大

 2017年度に沖縄県内でキャンプをするサッカーチームが24となり、前年度の22チームを上回り、過去最多を5年連続で更新する見通しだ。サッカーキャンプによる経済効果とスポーツ振興に期待が高まっている。(那覇支局・豊田 剛)

事業委託の沖縄、SV周知活動を強化

サッカー沖縄キャンプに過去最多の24チーム

レンタカー会社に並べられているサッカーキャンプ紹介のパンフレット

 今年は4年に1度のサッカーW杯実施年だ。否が応でもサッカーが盛り上がる。沖縄では2月のプロ野球キャンプが盛んだが、ここ数年、プロのサッカーキャンプが急増し、存在感を増している。

 各チームは1~2月を中心にキャンプを実施する。Jリーグは1部(J1)が昨季リーグ優勝の川崎フロンターレ、アジアカップ王者の浦和レッズ、初のJ1昇格を果たしたV・ファーレン長崎など11クラブ、J2が6クラブの計17クラブで、前年より3クラブ増えた。

 Jリーグのほか日本フットボールリーグ(JFL)、女子なでしこリーグ、大学男女のそれぞれ1チームが沖縄に来る。海外勢は韓国から男女各1チーム、中国から男子1チームが参加。韓国の女子がキャンプで沖縄に来るのは初めだ。

 「なぜ沖縄でキャンプをするのか。一番の理由は温暖な気候。ケガをしにくく、トレーニングに集中できる環境は沖縄にしかない。芝を含めたグランド整備が進み、環境が整っている。県全体のサッカー発展につなげていきたいという思いがある」

 かつて日本代表ストライカーとして活躍し、現在、地元クラブの監督兼選手で沖縄SV株式会社の高原直泰代表は11日、県庁で行われた記者会見で熱い思いを語った。

サッカー沖縄キャンプに過去最多の24チーム

Kリーグの雄、全北現代モータースを歓迎する横断幕が掲げられている=沖縄県恩納村の赤間総合運動公園

 沖縄県は10年度からサッカーキャンプの誘致に取り組んでおり、12年度から芝生管理者の人材育成を行った結果、芝生環境が大幅に向上した。その結果、サッカーキャンプ参加クラブは7年前の3倍に達した。

 16年度のサッカーキャンプによる経済効果は12億5812万円を記録した。プロ野球キャンプの同約109億円(17年度)には遠く及ばないものの、町おこしやスポーツ振興、教育面での波及効果は大きくなりつつある。

 高原氏は「今年はワールドカップの年。県内外の人々、子供たちに喜んでもらい、沖縄のサッカー界が盛り上がるよう活動したい」と強調。「キャンプを誘致するだけでは不十分で、多くの人が実際に会場に足を運んで選手のプレーを直接、見てもらいたい」と訴えた。

 沖縄キャンプに初めて参加するベガルタ仙台の丹羽祥庸強化育成本部長は、「3次にわたりキャンプをするに当たり、第1次を暖かい沖縄で実施することでチームがしっかり開幕を迎えられるようにしたい」と述べた。

 1月9日、1番乗りでキャンプインした全北現代も沖縄キャンプは初めてだ。アン・ソンジェ・フロント部長は、「グランドも素晴らしく気候が良い」と環境面を高く評価した。

 沖縄県サッカー協会の具志堅朗会長は、「県民が各チームのキャンプを見て雰囲気を味わうことだけでも、沖縄のサッカー少年の技術向上につながる」と期待を示した。

 2月までに約30試合のトレーニングマッチが予定されている。また、小学生らを対象にしたサッカー教室も数多く開催され、県内のサッカーレベルの向上に寄与している。沖縄に来て3年目という高原氏は「ここまで恵まれた環境はない」と強調する。

 ところが、「どれだけの選手がどこにいるというPRが不足していた」(高原氏)こともあり、今年のキャンプは1万枚のチラシをレンタカー会社を中心に配布するなど、周知活動を強化している。

 恩納村のあるリゾートホテルは、「例年1、2月のホテルの稼働率は低い方だったが、サッカーとプロ野球キャンプのおかげでにぎわっている」と話す。沖縄観光コンベンションビューローの担当者も、「年間を通じて観光客数が安定し、閑散期はなくなった」と分析。「野球やサッカーにこだわらず、冬季のスポーツキャンプを沖縄で実施してほしい」と期待を込める。

 キャンプ見学は、2月23日に開幕するJリーグ、6月14日から始まるワールドカップ・ロシア大会をより身近に感じることができるよい機会になるだろう。


沖縄キャンプを行うJリーグクラブ

  J 1             J 2
  ・浦和レッズ          ・ジェフ・ユナイテッド市原・千葉
  ・ガンバ大阪          ・大宮アルディージャ
  ・川崎フロンターレ       ・東京ヴェルディ
  ・V・ファーレン長崎      ・カマタマーレ讃岐
  ・ベガルタ仙台         ・京都サンガ
  ・コンサドーレ札幌       ・水戸ホーリーホック
  ・サガン鳥栖
  ・FC東京
  ・横浜Fマリノス
  ・ヴィッセル神戸
  ・名古屋グランパス