宮古・奄美も受け入れ、地対艦ミサイル配備がカギ
第2部 自衛隊配備へ動く石垣島(4)
宮古島と鹿児島県の奄美大島でも陸上自衛隊の配備計画が進められている。いずれも、警備部隊とミサイル部隊を新設する見通しだ。
宮古島の下地敏彦市長は6月20日、議会で早々と自衛隊の受け入れを表明した。3日前の17日には、中国軍艦5隻が宮古沖を通過するなど、緊張が高まっていた。こうした事態を受けて、同市議会(棚原芳樹議長)の議員25人中、12人が参加し、9月6日付で防衛議員連盟(会長・佐久本洋介市議)が設立された。
議連所属の市議はこのほど、与那国島を訪れ、陸自駐屯地を視察。人口増による地域活性化が進んでいることを確認した。今後は、住民に自衛隊配備の必要性を周知するために講演会や勉強会を企画。実態調査や現地視察、さらには、関係機関、各種団体などとの交流および協力も積極的に行う考えだ。
宮古島の配備候補地をめぐってはまだ、調整が必要である。島北部の「旧大福牧場」と中部の航空自衛隊(分屯基地)レーダーサイトに隣接するゴルフ場「千代田カントリークラブ」が当初の予定地だったが、下地市長は水資源への影響を懸念して牧場への配備に反対を表明し防衛省もそれを受け入れた。
また、革新系市民団体は陸上自衛隊配備を問う住民投票を実施するよう議会に求めた。これに対し、市議会は住民投票の実施および住民投票条例策定委員会の設置を求める陳情書の採決をしたが、反対多数で否決された。配備計画は順調と言える。
一方、奄美大島に新設される駐屯地の守備範囲は、トカラ列島から奄美群島までと広い。島内では自衛隊誘致合戦が繰り広げられ、2カ所に駐屯地を設置することが決まっている。奄美大島中部の奄美市には350人規模、南部の瀬戸内町には200人規模が駐留する。
沖縄県内の防衛関係者は、奄美大島と宮古島、石垣島の自衛隊配備に向けて順調に進展していることを歓迎した上で、「三つの島の警備部隊では地対艦ミサイルの配備がカギとなり、12式地対艦誘導弾が重要な役割を果たすだろう」と説明する。
12式地対艦誘導弾は88式の後継装備で、車両搭載型のため移動が容易だ。その能力は「尖閣諸島を射程に収めることができる」とされる。沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡は約290㌔と広く、外国の軍艦の航行ににらみを利かす効果も期待される。
同誘導弾は、新たに衛星利用測位システム(GPS)機能も付与され、命中精度が向上したという。「事前にプログラムされたコースに沿って低空を飛ぶため、発射地点を特定しにくくなり、敵からの攻撃を受けることは少ない」(同関係者)と自信を示す。
自衛隊配備強化は陸自だけにとどまらない。那覇基地に司令部を置き、沖縄の防空を担う航空自衛隊の南西航空混成団は、戦闘機部隊が二つに増えたことを受け、南西航空方面隊に格上げされる。
海保第11管区(那覇)は10月1日付で、宮古海上保安署を海上保安部に格上げした。2018年までに人員を200人、巡視船12隻と、現在の約4倍に増やす。宮古海峡の監視、尖閣諸島周辺の違法操業の監視を強化するためだ。
(那覇支局長・豊田 剛)











