配備を決議した市議会、「最後は市長が決断を」
第2部 自衛隊配備へ動く石垣島(3)
石垣市議会は9月定例会の本会議最終日の16日、「石垣島への自衛隊配備を求める決議」を賛成多数で可決した。また、砥板芳行市議が議員提案した「過去最大規模の中国公船と中国漁船による尖閣諸島周辺海域の領海侵入及び漁業活動等に関する要請決議」と対中抗議決議が全会一致で可決された。
防衛省による石垣島への自衛隊配備計画には、陸上自衛隊のうち、大規模災害等の不測事態で迅速に初動対応をする警備部隊、島嶼(とうしょ)防衛を念頭に置く地対艦誘導弾部隊、防空任務も担う中距離地対空誘導弾部隊がある。全部で500人規模だ。同省は、中国の海洋進出を念頭に、「力による現状変更を許容しないとのわが国の意思を示し、島嶼部への攻撃に対する抑止力を高めるもの」と説明している。
ただ、石垣島への自衛隊誘致の道のりは平坦(へいたん)ではなかった。
市議会は可決の3カ月前の6月20日、陸上自衛隊配備を求める請願を、賛成8、反対9の賛成少数で否決したのだ。
採決では、与党から3人が退席、自民2人が反対に回ったため、野党7人を含めた反対が上回った。退席した3人のうち、2人は公明、もう1人は自衛隊配備推進派で自民党石垣支部長の仲嶺忠師氏だ。
仲嶺氏は採決の顛末(てんまつ)をこう振り返る。
「最初は議会の3月定例会で請願という話があった。公明はもともと反対で、現状では絶対に否決されるという見通しで、継続審査となった」
次に、6月5日に実施された県議選で、石垣選挙区は、革新系の2候補の合計得票数は自民党候補の票を大きく上回った。そのため、仲嶺氏は「6月定例会で採決する時、県議選の結果を考慮しなければならなくなった」と話す。また、反対した自民党議員の一人は、陸自ではなく海上自衛隊を誘致すべきだと主張していたため、調整には時間が必要と感じた。
そこで、9月の決議では、単に「自衛隊配備を求める」とし、陸自か海自かは明記しなかった。それによって自民党全員が賛成して可決されたのだ。このため、自民党支部内の陸自配備派と海自配備派の意見調整が次の課題となっている。
「与那国島に陸自が配備されるまで、用意周到に何年もかけて準備した。石垣島では当時、若宮健嗣防衛副大臣が配備を要請してから1年も経(た)っていない」ことも踏まえ、議論を深めることは必要だろう。
ただ、安全保障に時間の猶予はない。砂川利勝県議は、「最後は市長に早く決断してほしい」と強調する。
一方、「自衛隊が配備されれば、オスプレイが飛来してくる。米軍も使用するようになる」などと2014年3月の石垣市長選で革新候補陣営は、島民の不安をあおったが、こうした反対運動は今は広がりを見せていない。
(那覇支局長・豊田 剛)











