大統領選が同性婚問題を左右-WT記者が会見

米紙ワシントン・タイムズ記者が会見

 UPF(国連NGO)の招きで来日中の米紙ワシントン・タイムズ記者シェリル・ウェツスタイン女史は30日、東京・内幸町の日本記者クラブで、米国の同性婚問題について記者会見し、婚姻率の低下や代理母をはじめとした倫理問題など、同性婚が深刻な問題を引き起こしていることを明らかにした。

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同性婚問題で記者会見するシェリル・ウェツスタイン女史(中央)=30日、東京・内幸町の日本記者クラブ

 ウェツスタイン女史は、米連邦最高裁判所が今年6月、同性婚を全米で合法化する判決を下すまでの経緯を説明。また、同性カップルに育てられた人たちが子供時代に意にそぐわない環境で育てられたことで同性婚に反対の声を上げはじめていると述べた。

 さらには、同性婚を合法化した国で婚姻率が低下していることを示すデータを紹介。同性婚の学術研究を進めていけば、世界的に強まる同性婚を合法化する流れを変えられる可能性があるとの見方を示した。

 記者からは同性婚の問題点に関する質問が出た。それに答える形で、ウェツスタイン女史は子供を育てることを希望する男性カップルが代理母を必要とするなど深刻な倫理問題が浮上するほか、離婚した女性カップルが子供の親権をめぐって裁判で争うなどの事態も起きているという。

 2016年の大統領選挙の結果が同性婚問題に与える影響についての質問もあった。これについては、大統領に連邦最高裁判事の指名権があることから「大きな影響がある」とした。9人からなる最高裁判事は終身制だが、高齢の判事が4人いることで、次期大統領の任期中に1人または2人の判事の退任が予想される。同性婚の合法化判決は5対4の僅差。判事1人がリベラルから保守に代わるだけで、判決が見直されることも否定できない。

 大統領選挙と同時に行われる連邦議会議員選挙の結果も注目されるという。連邦議会には現在、宗教的理由から同性婚に反対しても罰せられないとする修正第一条防衛法案が提出されている。ウェツスタイン女史は「共和党が上下両院を制すれば、同性婚問題に影響を与える法案が成立する可能性がある」と述べた。