同性婚で「文化戦争」に-WT記者が講演
「父母持つ権利失う」子供たち
米紙ワシントン・タイムズ記者が都内で講演
今年6月に連邦最高裁判所が同性婚を合法化する判決を下した米国で長年同性婚問題を取材してきた米紙ワシントン・タイムズ記者のシェリル・ウェツスタイン女史が29日、東京・永田町の憲政記念館で、「米国における同性婚:その経緯と展望」をテーマに講演を行った。この中で、同女史は、米社会が同性婚で世論が分裂して「文化戦争」に突入する一方で、その是非は同性カップルの間で育った子供たちが「明確な答え」を示すだろうと述べながら、そうした人たちの苦悩を訴えた。
ウェツスタイン女史の講演は「家庭の危機と再生へのビジョン」をテーマにした「日本国際指導者会議 in 東京」(UPF・平和大使協議会など共催)の中で行われ、同女史はまず、同性婚が合法となっても、米国では宗教的な信念から結婚証明書の発行を拒否して書記官が収監されたり、同性婚式典のためのケーキは作らないと宣言したパン屋が訴えられたりするなど、同性婚をめぐる混乱状況を説明した。
また、同性婚を合法化した連邦最高裁判決は5対4の僅差だった上、反対派判事の中には、判決は自由をはき違えている、同性婚の合法化によって一夫多妻の合法化を否定するのが難しくなるなど、合法化を強く批判する意見があったことを紹介した。
東京都渋谷区が同性カップルに「結婚に相当する関係」と認めるパートナーシップ証明書を発行することを盛り込んだ条例を成立させて以来、わが国でも同性婚論議が起きている。米国では、同性カップルの間で育ち成人した人たちが「正常な子供時代」や「母親と父親を持つ権利」を失ったなどと、同性婚を否定する声を上げているとしながら、「同性婚が有益か否かは、同性愛者の親たちに育てられた子供が成人して、明確な答えを示すだろうが、文化戦争はそれまで続く」と述べた。
講演に先立ち、主催者を代表し、平和大使協議会の鈴木博雄会長(筑波大学名誉教授)があいさつした。また、菊谷清一UPF日本事務総長が「家庭の危機と再生へのビジョン」と題して講演。日本で同性婚を認めれば、婚姻制度が形骸化して少子化に拍車がかかると危機感を示しながら、結婚と家庭の価値を守る立法・政策の必要性を訴えた。






