米同性婚論争、「最終決戦」へ
最高裁が審理決定、全米合法化も
【ワシントン早川俊行】米連邦最高裁判所は16日、同性婚を禁じた州の規定の合憲性を問う裁判を審理すると発表した。最高裁が違憲判決を下せば、各州の禁止規定は無効となり、全米50州で同性婚が合法化されることになる。法廷を舞台とした同性婚論争は、いよいよ「最終決戦」を迎えることになった。
同性婚に反対する30以上の州が、州憲法などを改正して、男女間の伝統的な結婚の枠組みを守る「防波堤」を築いていたが、2013年以降、各地の連邦地裁・高裁が次々に違憲判決を下した。最高裁は昨年10月、判決を不服とする州当局の上告を棄却したため、それまで19州だった同性婚合法化州は一気に増加。現在、過半数を大幅に上回る36州と首都ワシントンで合法化されている。
だが、オハイオ州シンシナティの連邦高裁は同11月、ミシガン州など4州の同性婚禁止規定を合憲と判断。高裁判決が割れる形となったため、最高裁が最終判断を下さざるを得なくなり、審理することを決めた。最高裁は4月に口頭弁論を開き、6月下旬に判決を下す予定だ。
最高裁が州の規定は違憲と判断すれば、同性カップルが結婚する権利が連邦レベルで認定され、全米で同性婚が合法化される。住民投票などを経て同性婚を禁止した各州の民意は完全否定されることになる。逆に、最高裁が合憲判断を下せば、結婚をどう定義するかは各州に委ねられることになり、同性婚を認める州と認めない州が混在する状況が続くことになる。
全米最大の同性愛者団体「人権キャンペーン」のチャド・グリフィン会長は、州の同性婚禁止規定を「差別的」と非難し、「最高裁は多くの(同性愛者)家庭に平等を保障する時だ」と主張。同性婚が全米で合法化されることを強く期待した。
これに対し、保守派団体「家庭調査協議会」のトニー・パーキンス会長は、「30州の有権者が住民投票で結婚を一人の男性と一人の女性の結合と定義する州憲法改正に賛成した。法廷が民意を覆している」と述べ、司法は民主的手続きを尊重すべきだと強調した。





