太古の昔から「命のつながり」を見る企画展
北海道博物館が国立科学博物館と協働事業
地球が生まれて約46億年、さまざまな生物が地上に登場した。北海道博物館(札幌市厚別区)では昨年12月上旬から1月20日までの期間、「生命のれきし―君につながるものがたり―」をテーマに企画展を開催している。約38億年前の地球最古の岩石や、太古の昔、地球上に現れた大型生物の化石、恐竜の全身骨格などを展示。普段は見ることのできない貴重な化石が並ぶとあって、子供たちの関心を集めている。(札幌支局・湯朝 肇)
生物の歴史に子供たちは興味津々
年代追って貴重な模型や複製展示、恐竜のバーチャル体験も
「ここに展示しているディノニクスという恐竜の体は何で覆われているか知っている人いるかな」――。12月23日、北海道博物館で開かれた同企画展のミュージアムトークで学芸員の添田雄二さんが参加した小学生に聞いてみると、一人の男の子が元気よく手を挙げて「はい、羽毛です」と元気な声で答える。ミュージアムトークには札幌市内からおよそ50人の親子が参加して地球上に現れた生物の歴史に興味津々、説明を熱心に聞いていた。
企画展は地球が誕生した時代から、バクテリア、魚類、両生類、爬虫(はちゅう)類、鳥類、哺乳類といった生物の歴史を「命のつながり」という視点で見詰めようというもの。ただ、理科の授業のようではなく、「地球の誕生」から、「生物が現れる(6億~8億年前)」「海の生き物パラダイス(5億4000万年前)」「さかなたちの繁栄」「地球が緑でおおわれる」「動物たちの上陸作戦」「爬虫類の繁栄」「ピンチの後のチャンス 生物の絶滅と進化」「わたしたちの哺乳類はいつから?」「ヒトの時代と環境変化」という具合に分かりやすく年代を追い、しかも世界中で発見された貴重な化石や恐竜の復元模型を使って説明しているのが特徴。
例えば、地球の誕生は約46億年前とされるが、地球に落ちてくる隕石(いんせき)からそれが分かるという。今回は、15㌢ほどの実物のオデッサ隕石を展示。また、「爬虫類の繁栄」では、始祖鳥の化石やニッポノサウルスの全身骨格(複製)を見ることができる。
展示の見どころについて担当した学芸員の圓谷昂史さんは、「普段見ることのできない実物の地球形成初期の岩石や隕石、さらに始祖鳥や実物大のディノニクスの全身骨格など複製でもかなり迫力があります。そして何よりも見てほしいのは、とてつもなく長い時間の中で生命がつながってきているということを知ってほしい」と語る。
展示期間中は冬休み期間と重なるとあって、子供たちの来館も多く、ミュージアムトークに親子で参加した札幌市立北光小学校4年の遠藤聡太君は、「恐竜やマンモスなどに関心があったので来てみました。クジラや植物の化石などもあって面白かった」と話す。展示会は実物が43点、複製・模型が30点の計73点から成っている。
また、1月5日から巨大なスクリーンを使って恐竜の動きを体感することのできるバーチャル実演会も実施。センサーの前に立って身体を動かすと、その動きに応じて巨大恐竜アロサウルスが動くというもの。子供たちが飛んだり、口を開いたりするとアロサウルスも大きな口を開いて迫ってくる。この体験展示は12日まで行われる。この他にも北海道立博物館では、総合展示室でハドロサウルスの脛(すね)や巨大な陸亀、メタセコイアの化石(いずれも実物)、アロサウルスの頭骨模型を展示するなど、同企画展を盛り上げている。
今回の企画展は東京・上野にある国立科学博物館と北海道博物館との連携協働事業の一つ。国立科学博物館はこれまで巡回ミュージアムと称して、全国にある地域博物館とネットワークを組みながらの協働事業を行っている。圓谷さんは「今回、国立科学博物館に提供していただいたアロサウルスのバーチャル体験など、実際に子供たちが体を動かしてみるので刺激になっていると思います。今後も機会があればこうした協働事業は進めていきたい」と話す。ちなみに国立科学博物館の巡回ミュージアムは次回は北見市で行われる予定。