世界に通じるエンターテインメントの人材育成を目指す
吉本興業初の認可校「沖縄ラフ&ピース専門学校」来春開校
吉本興業は2018年4月に沖縄県那覇市にエンターテインメント総合専門学校「沖縄ラフ&ピース専門学校」(2学科4コース)を開校する。吉本興業として初めての認可校となり、沖縄から世界へ通じるエンターテインメントおよびクリエーターの人材育成を目指す。(那覇支局・豊田 剛)
竹田校長「文化・芸能の“ハブ”に」、幅広いエンタメ文化教養を提供
小学生の「将来なりたい職業ランキング」に最近、ゲーム制作、さらには、動画配信をするユーチューバーが急浮上。クリエーティブメディアの分野が注目されている。
こうした時代の趨勢(すうせい)を受け、エンターテインメント業界で活躍するクリエーターを育成する専門学校を来年4月、吉本興業が沖縄県那覇市に開校する。沖縄で総合エンターテインメントを扱う専門学校は初めてだ。
学校を運営する吉本興業と沖縄とのつながりは2009年に始まった「沖縄国際映画祭」にさかのぼる。毎年春の恒例イベントで今年4月は9回目を迎えた。来年は10回目の節目でそれに合わせて開校の運びとなる。
入学資格は、高等学校卒業だけで、適性試験はない。外国人留学生も受け入れる。通常の専門学校と同様の2年制を取り、卒業後、4年制大学への編入が可能になる。クリエイティブ学科とパフォーミングアーツ学科は共に募集定員40人。2年間を通じて最大160人で、申し込み先着順で受け入れる。
最大の特徴は、エンターテインメント界の最前線で活躍するプロを講師として迎え、学びながら実践力を身に付けることができる。
クリエイティブ学科は、マンガコース、CG(コンピューターグラフィックス)・アニメコースで構成される。元「週刊少年ジャンプ」の編集長で、セリフのない漫画「サイレントマンガ」を世界的に展開する「コアミックス」の堀江信彦氏や、お笑い芸人の又吉直樹氏が芥川賞を受賞した「火花」をネット動画でドラマ化した古賀俊輔氏らが講師を務める。
パフォーミングアーツ学科はパフォーマーコース、プロダクションコースから成る。ブロードウェー・トニー賞を受賞した世界的ダンサーのヒントン・バトル氏や、海外ドラマ「HEROES」に出演しプロデューサー・脚本家としても活躍するマシ・オカ氏らが講師に名を連ねる。
一般教養の科目では、語学、歴史伝統・文化芸能、ビジネス、デジタルメディア、アートを学べるほか、社会連携のプロジェクト参加もある。講師には、庭園デザイナー・石原和幸氏や吉本お笑い芸人を交える。地元沖縄からは、仲井真県政で副知事を務めた歴史研究家の高良倉吉・琉球大学名誉教授も教鞭(きょうべん)を執る。
入学後はコース選択をするものの、4コースすべての授業を幅広く受けることができ、多くの知識や技能が身に付けられることが魅力。
竹田和夫校長は、「沖縄には独特な文化・芸能にあふれ、エンターテインメントを受け入れる土壌がある。沖縄独特の音楽性、リズム感が卓越している」と指摘。琉球国時代から海外との交易が盛んで、「アジア諸国に近いという地理的優位性を生かして、文化・芸能のハブにしたい」と期待を示す。
沖縄がエンターテインメント文化の一大拠点になれば、映画祭などさまざまなイベントなどで活躍できる人材の供給元として注目が集まるはずだ。
竹田氏は、高校での説明会をする中で、手応えを感じている。「本土に進学しようと思ったが、沖縄でアニメを本格的に学べるので、財政的に助かる」など良い反応がある。台湾からも問い合わせがあるという。
吉本興業は2011年に、お笑い芸人養成学校の「よしもと沖縄エンターテイメントカレッジ」(YOEC)を沖縄に設置している。