使える英語、“本物体験”で会話・討論の訓練

来年9月、東京・青海に英語村TGGを開業

 東京都教育委員会の主催する教育施策連絡協議会がこのほど、2400人余りの教育関係者を集め、都内の中野サンプラザで行われた。その中で、東京都は来年9月の開業を目指して「TOKYO GLOBAL GATEWAY」(TGG・英語村)の設置準備が順調に進められていることを説明した。(太田和宏)

小中高校生対象、外国人が案内役

使える英語、“本物体験”で会話・討論の訓練

来年9月の開業を目指す「TOKYO GLOBAL GATEWAY」の案内パンフレット

 TGGは児童・生徒たちが生きる5年後、10年後、20年後以降の世界は、ますますグローバル化が進むと予想。その中で、小中高校生が楽しみながら、時代のニーズに対応できるような英語力を身に付け、教科書中心ではない、使える英語、役に立つ英語を体験してもらうための施設で東京都江東区青海のビル内に開設する。

 施設と同名の「TOKYO GLOBAL GATEWAY」株式会社(学研HD、市進HD、エデューレエルシーエー、英語教育協議会、博報堂の5社が共同出資)が管理・運営する。学習塾運営会社などで作るGTTが独立採算、東京都が補助金を支給し、整備・運営で連携する。英語や総合的な学習の時間、学校行事のほか、個人利用も可能で、年間約20万人の利用を見込んでいる。

 構想では、訪れた子供たちは、6~8人のグループに分かれ、エージェント(外国人の付添人)に出迎えられて「アトラクション・エリア」に移動。食事、ホテル、病院、空港などの環境を模した空間の中で、日常生活を送るのに必要な英会話や行動を体験する。

 施設のコンセプトとして海外施設や場所の単なる再現や海外訪問の疑似体験というものではなく、「英語に始まり、英語に終わるという主体的な活動を体験する空間になっている」と関係者は説明する。同施設の特徴はそれだけにとどまらす、発話の機会を十分に取り、英語が通じるという成功体験を持ってもらい、世界に羽ばたいてもらうことだという。

使える英語、“本物体験”で会話・討論の訓練

体験型英語学習施設の説明をする東京都教育庁国際教育事業担当課長の森晶子さん

 そのために、海外生活を題材にしたサバイバル・イングリッシュの使用、海外で自分の要求や状態を伝えるトレーニング、与えられたミッションを意欲的に解決する、困っている外国人やボランティア等に役立つ実践訓練などを行う。

 その後、「アクティブイマージョン・エリア」で料理や日本文化、音楽、海外での仕事、ボランティア活動など実社会を垣間見る機会を提供する。「話す」「聞く」という機械的活動だけでなく、ディスカッション、ディベート、プレゼンテーションを行い問題解決する機会も設けてある。もちろん、来場者のレベルに合わせてのことだ。

 東京都が教育に関する包括的な覚書を締結している海外の国や州(オーストラリア、ニュージーランドなど)、JICA(国際協力機構)などの国際機関、在京大使館などから講師を招き、海外での活動などを聞いたりする。

 都内在学の小学5年生から高校生までの児童・生徒を主な対象とし、5年生以下の子供でも、できるだけ、参加を認めていく方針だ。施設の利用は学校単位の団体利用を想定しており、1日の最大収容者数は650人の2回転、約1300人としている。年間20万人の受け入れを想定している。1日コース(7時間、4800円)や半日コース(3時間半、2400円)、団体が利用する宿泊コース(1泊2日、1万5000円 2泊3日、2万5000円)も検討している。

 東京都教育庁国際教育事業担当課長の森晶子さんは施設説明の最後に「自分は英語が上手ではなかった。英語の必要性を見いだせないまま成人。苦労して米国の大学院に留学・卒業した。その後、ビジネスの場面では海外の人とやりとりする場面で英語での会話は必須条件であり、コミュニケーション能力の高さに気付かされた。日本人は良いものをたくさん持っているのに“もったいない”と思うことが多くあった。私には、6歳になる息子がいるが、英語が苦手だから、外国人と触れ合うのが嫌いだから、という理由で可能性を狭めてほしくないと思っている。英語が使えれば、世界と自在にアクセスでき、人生の選択肢が増え、より充実した人生を送れる」と保護者の一人としての胸の内を語った。