憲法施行70周年 首相「20年を新憲法施行の年に」
改憲推進派集会で表明
現行憲法施行70周年を迎えた3日、憲法改正推進派と護憲派がそれぞれ集会を開催した。その中で、推進派の民間団体が都内で開催したフォーラムに安倍晋三首相が自民党総裁としてビデオメッセージを寄せ、改憲について「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」との目標時期を明らかにした。具体的な改正項目としては9条を挙げ、新たな条文を追加して「自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置付けるべきだ」と強調した。
首相が改憲の具体的な目標時期に言及したのは初めて。総裁任期の延長を踏まえ、21年までの続投が念頭にあるとみられる。ただ、野党第1党の民進党は安倍政権下での改憲に反対しており、自民党からは野党が態度を硬化させかねないと懸念する声も出ている。
首相は自衛隊について多くの憲法学者や政党が違憲とする議論を続けているとして、「『自衛隊は違憲かもしれないけれども、何かあれば命を張って守ってくれ』というのはあまりに無責任だ」と強調。「少なくとも私たちの世代のうちに『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論が生まれる余地をなくすべきだ」と唱えた。
具体的には「平和主義の理念は未来に向けてしっかりと堅持していかなければならない」とした上で、「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込むという考え方は国民的な議論に値する」と表明。戦争放棄をうたった1項や戦力不保持を定めた2項には手を加えず、新たな条文で自衛隊を規定すべきだとした。
9条以外の改憲項目として「教育は極めて重要なテーマ」と指摘、義務教育制度が日本の戦後の発展に寄与したとして「高等教育についても全ての国民に真に開かれたものとしなければならない」と訴えた。改憲勢力として期待を寄せる日本維新の会の主張を取り込んだものだ。
目標時期については「東京五輪・パラリンピックが開催される20年を、未来を見据えながら日本が新しく生まれ変わる大きなきっかけにすべきだ」と説明。20年が「日本人共通の大きな目標となっている」との見解も示した。