高校に期日前投票所を設置する動きが広がる

「18歳選挙権」実施の参院選

 選挙権年齢が18歳以上に引き下げられ、7月の参院選では一部の高校生が投票できるようになることを受け、高校に期日前投票所を設置する動きが広がっている。昼休みなどの空いた時間に投票してもらい、投票率アップにつなげたい考えだ。

空き時間の活用に期待、一般市民の利用も可能に

高校に期日前投票所を設置する動きが広がる

千葉県立富里高校で期日前投票所が設置される部屋を案内する松居清明教頭。18歳選挙権を受けて高校への設置が進む=5月27日、千葉県富里市

 期日前投票は、仕事や学業、旅行などで投票日に投票できない場合の制度で、指定された投票場所にかかわらず、期日前投票所で事前に投票できる。

 千葉県富里市の県立富里高校は、6月28日の1日限定で昼休みから4時間、1階応接室に投票所を設置する。3年生232人中、選挙権を得るのは66人で、うち市内在住の29人が利用できる。

 期末試験の1週間前で、放課後は急いで帰宅する生徒も多いため、昼休みにも投票できるようにした。一般市民も利用可能で、市選挙管理委員会は授業に支障が出ないよう、職員のほか警備員を配置して対応する。

 松居清明教頭(58)は「選挙制度を学ぶいい機会だ。投票を間近で見ることで、1、2年生にも1票の大切さが伝われば」と期待する。

 京都府木津川市の府立南陽高校では、期末試験最終日の7月7日の放課後に設置し、生徒が投票立会人も務める。3年生355人のうち35人が対象で、選管職員が常駐するほか、誘導係のボランティアを生徒から募集する。

 一般市民の利用も歓迎しており、広報用のポスター作製、書道や吹奏楽のパフォーマンスも検討している。生徒の関心も高まっているといい、越野泰徳副校長(52)は「地域とのつながりを大切にしてきた。学校に来たことがない人も利用してほしい」と意気込む。

 熊本県大津町も県立大津高校など2校に設置するが、熊本地震の影響で準備が遅れている。町選管は「投票所に使う施設が損壊し、高校まで手が回らない状況だが、何とか設置したい」と話す。この他、岐阜県関市や奈良県橿原市などの高校にも設置される。