山梨県教委、文科省の道徳教材調査内容を書き換え報告

学校の回答正確に伝えず

400 文部科学省発行の小中学生向け道徳教材「私たちの道徳」を児童・生徒の自宅に持ち帰らせていない学校が多くある問題で、文科省が昨年10月までに実施した同教材に関する調査のうち、山梨県教育委員会が山梨市内の小中学校から上がってきた回答を書き換えて同省に報告していることが世界日報の調査で分かった。同県教委は本紙の取材に「変えていいと判断した」とし、書き換えを認めている。意図的に改ざんして文科省に虚偽の報告をしたとすれば、議論を呼びそうだ。

 問題の調査は、文科省が「私たちの道徳」の活用状況を調べたもので、各教育委員会を通して全国の公立小中学校に対して実施。「私たちの道徳」を「学校に置いたままとせず家庭に持ち帰るようこれまで(回答時まで)指導をしていますか」との問いに①すべての学級で指導している②一部に指導していない学級がある③指導していない―の中から選んで回答するものだ。

 山梨市は市内の中学校3校の回答として、①②③がそれぞれ1校ずつだったと報告。しかし、同県教委が文科省に出した報告内容では①が2校、②が1校に変わっていて、「指導していない」が1校もなかった。

 記述式で「指導していない理由」を書く欄も書き換えられていた。山梨市立のある中学校は「今はまだ、家庭に持ち帰り自由に活用することはできないと判断しました」と回答したが、県教委は「今後は、家庭に持ち帰り活用するようにしていきたいと考えます」との内容に書き換えて報告していた。

 同市内の小学校の調査では、11校のうち①が10校、③が1校あったとの同市の回答を、同県教委が①が10校、②が1校と変えていた。

 同県教委は、市側にも学校現場にも回答の変更を説明しておらず、独自の判断で書き換えた内容を文科省に報告していた。同省は学校からの正確な回答を受け取っていなかったことになる。

 山梨県教委は世界日報の取材に対し、「私どもで変えていいと判断した。国に報告し直したい」としている。

 文科省の初等中等教育局の担当者は「事実を確認する必要がある」とコメントした。