グローバル人材育成へ 東京藝術大学、英仏米の芸術大と連携協定

「共同カリキュラム」を構築

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連携協定調印後に記念撮影する各大学代表。左からロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズ校のマーク・ダンヒル教養学部長、パリ国立高等美術学校のニコラ・ブリオ校長、東京藝術大学の宮田亮平学長、シカゴ美術館付属美術大学のポール・コフィ副総長=23日、東京都台東区の東京藝術大学

 グローバル時代を担う人材の育成を目指し、東京藝術大学(宮田亮平学長)は23日、世界最高峰の芸術系大学であるロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズ校、パリ国立高等美術学校、シカゴ美術館付属美術大学の3校と「グローバルアート国際共同カリキュラム」構築に向けた連携協定を締結した。

 東京藝大と3校は今年度から、各国で開催される国際芸術祭におけるアート共同プロジェクトを各大学の共同カリキュラムとして積極的な人材交流を行い、数年後には共同学位授与まで進めていく計画だ。世界初となる協定の調印式を終えた宮田学長は、「ルネッサンスのように新しい時代を作る芸術観、政治観、経済観をもった本当のグローバルな人材、とんでもない人間をつくりたい」と抱負を述べた。

180 今年度の具体的なアート共同プログラムは、新潟県の「越後妻有アートトリエンナーレ」(7月28日から50日間)でパリ国立高等美術学校と、また、10月に香川県の瀬戸内国際芸術祭会場(栗林公園)でロンドン芸術大学と、来年1月に東京でシカゴ美術館付属美術大学と、それぞれ実施する。それに向けて東京藝大と該当大学が互いに教授、准教授、助手など数人の教員と10人程度の学生をユニットとして交換し、合同会議や現地視察、リサーチ、作品制作等を共同して行う予定だ。

 東京藝大のイニシアティブで実現した今回の連携協定は、文科省の「国立大学改革プラン」(平成25年)が掲げる「世界最高の教育研究の展開拠点」としての機能強化の方向性に対応したもの。同大は既に海外芸術系大学と単位交換や人材交流など積極的な国際化を進めており、芸術系大学として唯一、文科省が国際化を重点支援する「スーパーグローバル大学」(グローバル化牽引(けんいん)型)に選定されている。今回の協定は美術分野だが、今後、音楽分野や映像分野でも順次、同様の協定を締結して国際化に拍車をかけていく計画だ。