小中の道徳教材持ち帰らせず、文科相がシンポで批判
親子で考える環境を
今年4月から新しく使われている文部科学省発行の小中学生向け道徳教材「私たちの道徳」が、児童・生徒一人一人に配られず、家に持ち帰らせていない学校が多くあり、首都圏では9割近くに上っているという問題(本紙6月3日付詳報)で、下村博文文部科学大臣は14日、都内で行われた民間団体主催の教育シンポジウムに参加し「親御さんたちにもぜひこの教材を読んでもらいたい。道徳教育というのは道徳の時間に子供たちがこれを読めば済むということではない。親御さんにも教材の内容を知ってもらい、親子が生き方についていろいろ考える環境づくりをすることが大切だ」と話した。
また家庭に持ち帰っていないことについて「私は、これはとんでもないことだと思う。国民の85%が道徳は大切だ、できたら教科化してほしいという意見だ。まさに教育現場と国民の意識が離れているということだ」と日教組、教育委員会などに注文を付けた。「小中学生の子供を持つ親は『ぜひ家に持ち帰るよう、学校の先生にお願いして』と子供に言ってほしい」と訴えた。
シンポジウムは一般社団法人公益資本主義推進協議会主催、「これからの教育の『在り方』」をテーマに行われ、下村文科相の基調講演に続き、田坂広志多摩大学大学院教授、坂東眞理子昭和女子大学理事長兼学長、大久保秀夫同協議会会長(代表理事)がパネリストとして参加、これからの未来を担う子供たちの道徳教育などについて論議された。