中国、深海でも軍事利用推進

ビル・ガーツ

ビル・ガーツ氏

 中国は非対称戦能力の強化を進めているが、それは宇宙とサイバー空間だけにとどまらない。中国軍が、10年かけて深海での兵器と軍事力を増強する計画を持っていることがこのほど明らかになった。

 中国国営メディアによると、中国軍は、水深1000㍍以上の深海で使用可能な兵器の開発を要求しているという。

 南京大学の南シナ海共同革新研究センターと連携する軍研究者チェン・シュー、フェン・リャン両氏が昨年12月、計画を公表。それによると、深海の軍事利用には、軍事基地、早期警戒システム、「深海兵器・装備」を備えた設備の建設が含まれる。

 両氏によると、これらの兵器、システムには、人工知能(AI)のような先端技術が使用され、無人潜水艦以外にも「水中空母」「水中ロボット」「深海兵」などの開発が進められている。

 報告は、これらの兵器はAIなどの先端技術に依存しており、「深海兵器の開発が今後、無人(戦闘)化と自動化に向かうことは間違いない。深海に到達し、深海での活動時間を延ばすことは常に、重要で困難な課題だった」と、技術革新によって深海の開発が可能になったことを指摘している。

 この計画は、中国の深海戦闘部隊の創設の一環。報告は「深海軍事作戦を戦略的、法的に明確にすることをどの国も重要視している」と深海への関心が国際的に高まっているとした上で、「深海は、特異な性質を持ち、非常に大きな価値を持つことから、すでに世界各国が探索、開発を競い合う新たな領域となっている。すでに、深海の探索と軍事利用で一定の成果を挙げ、経験を積んでいる国々があり、中国もこれに触発され、深海の開発計画を作成し、軍事利用を進めている」と強調した。