晩節汚さぬ引退が大事
いよいよ明日から衆議院総選挙が始まるが、自民党・民進党を中心に与野党のベテラン議員の多くが立候補せずに政界から引退した。
引退してからも、たびたびマスコミを賑(にぎ)わしているのが、一足先に引退した鳩山由紀夫元首相だ。
鳩山氏は中国や韓国に行っては、日本人の誇りを傷つけるような言動を繰り返している。さらに先月29日には、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議するために、元民主党国会議員らとともにスーツ姿で移設先の米軍キャンプ・シュワブ前を訪問。工事が続く現地で、自らも「アベ政治を許さない」と書かれたプラカードを持って、抗議活動をしている反対派とともに座り込みに参加した。鳩山氏は政界引退後、たびたび辺野古を訪れて反対派市民らを支援しているが、座り込みは今回が初めてだ。
鳩山氏はマスコミの取材に対し「みんながトラックの資材搬入に抵抗しようとしていたので、居合わせた私も協力したいと中に入った。日本人として(辺野古移設を)もう一度考え直さなければならないと自分にも言い聞かせて行動した」と述べているが、首相経験者としては、あまりにも軽率な行動ではないのか。
鳩山氏は政権交代前の総選挙で、普天間飛行場の移設先を「最低でも県外」と主張した。しかし、民主党政権は代替案を見つけられず、辺野古移設に回帰した経緯がある。今日の移設問題の混迷の原因を作り出した責任が鳩山氏にはあるはずなのだが、その自覚すらない態度には呆れるばかりだ。
鳩山氏は首相に就任して間もない頃に「国益も大事だが、地球益も大変大事だ」「日本列島は日本人だけの所有物ではない」などと発言して失笑を買ったこともある。「懲りない面々」という言葉があるが、鳩山氏はまさにその1人だろう。
今回引退した議員の面々には、くれぐれも鳩山氏のような言動がないことをお願いしたい。
(濱口和久)