「日本の国防」を説く高著
先ごろグッドブックスから出版された色摩(しかま)力夫氏の著書『日本の死活問題』が自宅に送られてきた。
色摩氏は、仙台陸軍幼年学校を卒業後、陸軍予科士官学校の時に終戦を迎えられた。戦後は東京大学を卒業後、外務省に入省され、外交官として各国の大使などを歴任された人物だ。
私は色摩氏の著書は、過去に何冊か読んだことがある。今回出版された『日本の死活問題』では、「戦時国際法」「国際連合」「日本国憲法と自衛隊との関係」を47の項目に分類し、それぞれの項目を4ページにまとめられており、大変読みやすい内容となっている。
色摩氏は「はしがき」で「私たちが戦争と平和を語ろうとするならば、『戦時国際法』の基礎知識は必要です。これを欠いては、万が一の場合に、軍隊のみならず一般国民も、知らないうちに戦時法規違反の戦争犯罪人となってしまう恐れがあります」と述べられている。
現代の日本人に「戦時国際法」と聞いても、内容を理解し、説明できる人は皆無に等しい。なぜならば、大学で専門的に学ぶ学生以外は、教えられることはないからだ。
「自虐的な平和教育」をするぐらいなら「戦時国際法」を学生に教えるほうが、はるかに有益な人材を育てることにつながるのではないかと、本書を読んで改めて痛感した。
本書は軍隊と警察の違いについても詳しく説明され、自衛隊がいかに奇妙な(軍事)組織であるかを知ることができる。色摩氏は「『国防』を『安全保障』と言うようになったときから危機感のない日本の無責任体制が始まった」とも述べられている。是非、多くの日本人(特に自衛官)に読んでもらいたい1冊である。
もう1冊、最近出版された本を紹介したい。自民党本部で長年にわたって、憲法や防衛問題を担当されている政務調査会審議役の田村重信氏の著書『知らなきゃヤバい! 防衛政策の真実』(育鵬社)だ。
色摩氏と田村氏のご著書の2冊を併せて読むことで、日本の国防問題の課題が見えてくるような気がする・・・。
(濱口和久)