自衛官募集を阻む障害

「自衛官募集」のポスターを街中にある掲示板をはじめとして色々な場所で目にしたことのある人は多いだろう。

 最近はポスターだけでなく、その他の媒体や、学校訪問などを通じて「自衛官募集」の広報活動を自衛隊は積極的に展開し、志願者を増やす取り組みを行ってきた。だが、一部マスコミによる安保法制に対するネガティブな報道もあり、志願者が昨年は大きく減ったと、募集担当者から聞いている。

 一方、東日本大震災をはじめ災害派遣の現場や国連平和維持活動(PKO)などでの自衛隊の活躍により、国民の自衛隊に対する意識は大きく変わった。それまでは「税金泥棒」と言われたり、自衛官の子どもが学校で差別を受けてきた歴史がある。ノーベル文学賞を受賞した大江健三郎氏は、防衛大学校の学生のことを「現代青年の恥辱である」とまで言った。朝日・毎日新聞に至っては、いまだに自衛隊に対して偏見と差別に満ち溢れた報道をたびたび行っている。

 最近も、自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長が、安倍首相が憲法記念日に自衛隊の存在を憲法に明記する改正に言及したことについて問われ、「一自衛官として申し上げるなら、自衛隊の根拠規定が憲法に明記されるのであれば非常にありがたいと思う」と語ったことに、何も問題にすべき発言でないのに、両紙は河野統幕長の発言を社説や記事で批判した。

 また、「自衛官募集」のCMを放送しているのは、在京キー局の中ではテレビ東京だけだ。他のテレビ局では、考査上問題があるとして放送することができない。なぜ「自衛官募集」のCMが、考査上問題があるのか理解に苦しむ。

 「自衛官募集に限らず、社員募集のCMは一切認めていない」というのを表向きの理由にしているようだが、「テレビ局内部に、いまだに自衛隊に対してアレルギーを持った人たちが相当数いる」ことが、放送を認めない理由のようだ。

 本紙読者諸氏は、このような状態をどう思いますか……。

(濱口和久)