入校式前の防衛大
新年度がスタートし、防衛大学校にも新入生が入校(入学)した。防衛大では一般大学の入学式に相当する入校式の前に着校日というものが設けられている。今年は4月1日が着校日で、5日に入校式が実施された。
防衛大といえば、毎年、卒業式の任官辞退者の人数が話題となるが、新入生が着校し、入校式までの間に辞めていく人数について報道されたことはほとんどない。だが、毎年、2桁の新入生が入校式の前に辞めている。
なぜ、このようなことが起きるのか。防衛大は将来の陸海空幹部自衛官を養成する文部科学省所管外の防衛省所管の大学校であり、一般大学では経験しないことも経験する。
防衛大は校内に設置されている学生舎(寮)で、1年生から4年生が一緒に生活する。一般大学の体育系の寮と同じだ。そして、新入生には1人ずつ上級生の対番学生が就く。対番学生は2年生がなることが多い。私の場合は浪人して防衛大に入校したので、対番学生は3年生だった。ちなみに防衛大の受験資格は21歳未満だ。
対番学生からは、舎生活や校内での決まりことについての指導を受ける。ベットメーキング、制服のアイロンがけ、革靴・半長靴の磨き方、ネームなどの縫い物、入浴時の作法、学生食堂での食事の態度、学生舎の掃除方法などだ。これらのことを一通り対番学生から教わり、入校式を迎えることになる。
入校式を待たずして、防衛大を辞めていく新入生のほとんどが「勉強するために防衛大に入校したのであり、煩わしい上下関係や、生活様式を学ぶために防衛大に入校したんじゃない」と言って辞めていく。
新入生にとっては、すべてが初めての経験であり、戸惑いがあるかもしれないが、日常生活で役立つものも多い。
特に、スーツのズボンのアイロンがけなどは、いまだに私は自分でやっている。
最後に、今年の新入生も色々と辛いことがあるかもしれないが、恵まれた教育施設のもとで、勉強や訓練に頑張ってほしい。
(濱口和久)