護衛艦「かが」に中国警戒

 海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦(DDH)「かが」が3月22日に就役した。

「かが」は艦首から艦尾まで平らな飛行甲板を持ち、外見は空母そのものだ。海自の保有するヘリコプター搭載護衛艦は「ひゅうが」「いせ」、そして「いずも」に続き4隻目となる。

 海上自衛隊の発表資料によると、基準排水量約1万9500トン、全長約248メートル、全幅約38メートル、乗員数約470人、速力30ノット、ヘリコプターを最大14機搭載し、同時に5機が発着艦できる。輸送ヘリCH‐47Jやオスプレイなども搭載可能だ。また、ステルス機能を向上させた。

 日本には戦前、米国に対抗できる空母機動部隊があった。日本海軍は「赤城」「加賀」「飛龍」「蒼龍」「翔鶴」「瑞鶴」など多くの空母を保有し、大東亜戦争開戦時、空母の保有数で米国を上回っていた。

 今回の「かが」の就役によって、ミニ空母機動部隊の編成も可能となる。中国に対する抑止力としても有効だろう。実際、中国海軍は「かが」の就役に対して警戒感をあらわにしている。なぜなら、飛行甲板を耐熱性の強い素材に交換することによって、戦闘機の発着鑑が可能となるからだ。最新鋭ステルス戦闘機F35も発着鑑が可能となる。

 また、「かが」に搭載するヘリコプターは、潜水艦を探索・追尾する役割を担う哨戒ヘリコプターであり、中国海軍の潜水艦の行動を監視することも可能となる。そうなれば、中国海軍の東シナ海での行動にも影響を与えるだろう。「かが」の就役は目障りな存在になるに違いない。

 国内のマスコミの中には、「かが」の就役によって、中国を刺激するという意見もある。だが、中国海軍は「遼寧」に続き、国産の空母を建造中だ。日中間でやみくもに建艦競争をする必要はないが、中国の国防費の額や海軍力の増強を考えれば、海自の作戦能力を高めることは、日本の安全保障に大きく寄与することになる。

濱口和久