交通事故減少へ対策
地球だより
タイの交通渋滞は昔から有名だが、一方で交通事故による死者数も世界でトップクラスだ。一昨年末の世界保健機関(WHO)リポートでは、人口10万人当たりの交通事故死亡者数でタイは36・2人と世界で2番目に多い。1位はリビアで73・4人とダントツだが、こちらはアラブの春で独裁政権が崩壊し治安も悪化、交通ルールを守るマナーも凋落(ちょうらく)した。3位はレソトで33・7人だった。
なお日本は4・7人。近隣の東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国はベトナム24・5人、マレーシア24人、ミャンマー20・3人、カンボジア17・4人、インドネシア15・3人、フィリピン10・5人だった。
タイ運輸省は今春、交通違反を減らすため運転免許証の取得を難しくするとともに免停などの条件を引き下げる方針を打ち出した。具体的には、運転免許取得に15時間の教習を義務付けるなどを柱とするものだ。
筆者もバンコクでタイの免許証を取得したが、朝、試験を受けに行って60分の学科試験(英語)を終え、車庫入れと坂での発進をメインとした実技試験を無事終えると免許証が数日後には届くという簡単なものだ。30年前の実技試験は、ただ二つの柱の間を八の字に回れたらOKだったというから大きな前進には違いない。
簡単に取れる免許証は、簡単に事故も起こす。まずはこうしたところから、手を入れていこうということだが、抜け道が多いタイ社会でこれが大きな前進になるかどうか、まだ即断はできない。
(T)