女性自衛官も一線進出
第33回土光杯全日本青年弁論大会が1月7日、東京・大手町のサンケイプラザホールで開催された。私も防衛大の4年生の時に弁士として出場した経験を持っている。卒業後は土光杯OB会事務局長に就任し、毎年欠かさず大会を見学している。審査員をしたこともある。
今年の大会で私が注目した弁士は、同志社大学2年の野崎英子さん(21歳)だ。野崎さんは審査員との質疑応答の中で「日本が有事の場合、私は義勇兵となり戦います」と発言した。この発言の瞬間、会場内に大きな拍手が起こった。野崎さんのような学生には是非とも自衛隊に入って活躍してほしいものだ。
現在、自衛官22万7339人(平成27年度)の中で、女性自衛官は5・9%の1万3476人しかいない。まだまだ数は少ない。だが、すでに陸海空3自衛隊では、航空機(C1輸送機、P3C対潜哨戒機、CH47大型輸送ヘリ)などのパイロットとして活躍している女性自衛官もいる。
航空自衛隊では戦闘機のパイロットも数年以内に誕生する。海上自衛隊では昨年、初の護衛艦の艦長として大谷三穂2等海佐(45歳)が就任した。大谷艦長は、一般大学で考古学者を目指していたが、湾岸戦争を報じるテレビで厳しい国際情勢の現実を目の当たりにし、防衛大進学を決意し中退。両親の反対を押し切り、防衛大女子学生1期生の道を選んだ。
一方、世界に目を転じれば、各国の女性将兵の配置場所(採用状況)は次のように大別されている。(1)全戦闘部門(2)潜水艦以外(3)特殊作戦部隊など高い精神・身体力を要求される部隊以外(4)潜水艦と地上部隊を直接攻撃する部隊以外(5)戦闘支援部隊限定(6)衛生・音楽部門限定(7)全面排除…となっている(産経新聞平成28年6月4日付)。今後、自衛隊においても、段階的に女性自衛官の配置場所は拡大していくだろう。
最後に一言。野崎さんや大谷艦長の思いには、同じ日本人として拍手を送りたい。
(濱口和久)