「駆け付け警護」各紙の社説
9月中旬から、11月中旬以降に南スーダンに派遣される陸上自衛隊第9師団第5普通科連隊(青森市)の隊員を中心に「駆け付け警護」の訓練が始まっている。
そこで、私の家の近くの図書館で、新聞各紙が自衛隊の「駆け付け警護」問題について、社説(8月25日~26日)でどのように論じているかを調べてみた。
朝日(25日付)は「駆け付け警護は、離れた場所で武装勢力に襲われた国連、NGO職員らを武器を持って助けにいく任務だ。自らの部隊を守るだけでなく、外に出て多くは丸腰の人を守ることになる。隊員のリスクが高まることは避けられない。この任務を付与するか否かは今後、現地の治安情勢などを踏まえて政府が判断する。国会での徹底した議論が欠かせない」と指摘。
毎日(26日付)と東京(26日付)も同じようなトーンで、「国会での議論が不十分である」と言いたげな書きぶりとなっていた。
東京は「平和国家という『国のかたち』を変えてしまいかねない海外での活動だ」とまで言っている。
一方、読売(26日付)は「これまでは、武装集団などに襲われた民間人や国連職員、他国部隊から救援を要請されても、『法律上できない』と断るしかなかった。民間人を見捨てるのは人道上も問題だ。国際機関や他国との信頼関係を築くこともできない。安保関連法の成立・施行によって、国際常識から逸脱した、日本政府の過度に抑制的な憲法解釈の歪(ひず)みを是正した意義は大きい。」と論じたうえで、「万一の際、機動的かつ適切に対処する態勢を構築するには、従来以上に現地情勢の情報収集・分析に力を入れつつ、準備と訓練に万全を期す必要がある」として、新たな任務がうまく運用できるための体制整備を強調している。
東京が言うように「『国のかたち』を変えてしまいかねない」というのは、いくらなんでも大袈裟すぎないか。
本紙読者の中でも自衛隊の「駆け付け警護」については、ご意見がいろいろとあると思うが、私は読売のスタンスを支持したい。
(濱口和久)