健全野党と安保強化

 日本共産党(以下・共産党)の志位和夫委員長が来年夏の参議院選挙に向け、野党共闘を積極的に推進しようとしている。志位氏は安全保障関連法制(以下・安保法制)の廃止に向け、「国民連合政府」構想をぶち上げた。そして、来年夏の参院選では独自候補擁立にこだわらず、民主党などと統一戦線を張り、安倍晋三政権を退陣に追い込む構えだ。

 果たして志位氏の目論み通りに事が運ぶのだろうか。民主党の岡田克也代表も、当初は志位氏の提案に前向きな姿勢を示していたが、党首会談後は慎重な姿勢に転じた。

 岡田氏が志位氏の党首会談の呼びかけに安易に応じたこと自体、支持率の伸び悩む民主党の置かれた状態を物語っている。

 民主党は自民党系の流れを汲む議員もいれば、旧社会党系の流れを汲む議員もいるため、国家の基本政策についてさえ取りまとめることが難しい政党だ。共産党との「国民連合政府」ともなれば、民主党内での反発は必至となるだろう。

 民主党内には安保法制について、採決では反対したが、安保法制の必要性を感じている議員もいた。そう考えれば、共産党との「国民連合政府」などとなれば、民主党の分裂は確実だ。

 すでに岡田執行部の対応に不満を持つ中堅・若手議員の一部が、民主党を離党して新党を結成する動きを水面下で模索している。

 民主党が共産党と選挙や政権構想で連携することは、繰り返しになるが民主党の破滅を意味することになる。

 国民が求めている自民党に対抗できる野党勢力の結集とは、共産党と手を握ることではない。特に共産党は日米同盟・自衛隊に対するスタンスに問題がありすぎる。

 安全保障政策は国家の基本であり、政権が代わるごとに政策がころころ変わるようなことがあってはならない。

 国民は自民党に100%満足しているわけではないが、既存の野党にもまったく期待していない。

 自民党に対抗できる健全な野党の誕生こそが、日本の安全保障の強化にも繋がると思う。

(濱口和久)