防空識別圏外の小笠原

 東京都議会(平成27年2月27日開催)で、自民党の古賀俊昭議員が日本の防空識別圏について質問した。

 質問の内容を簡単に紹介すると次の通りだ。

 「日本の防空識別圏には、伊豆諸島南部から南側が除かれています。つまり、小笠原諸島は我が国の防空識別圏の外にあるのです。海保の警察活動や水産庁および都の監視調査活動などが行われているこの区域は、現在、我が国が制海権、制空権を確保していることはもちろんでありますが、さらに実効支配をより確実にして島民に安心をしてもらうためにも、自国が自由に設定可能な防空識別圏設定について、早急に国に申し入れるべきだと考えますが、知事の所見を伺います。」

 これに対する舛添要一知事の答弁は次の通りだ。

 「防空識別圏の設定および運用は、国の専管事項でありまして、高度な判断が必要な問題であります。島嶼(とうしょ)部に暮らす住民の生命と財産は、本土に住む国民と同様にひとしく守られるべきであり、島嶼地域の方々が不安を抱きながら生活をするようなことがあってはなりません。(中略)国は平成25年12月に閣議決定されました防衛計画の大綱において、太平洋側の島嶼部における防空態勢のあり方について検討を行うとしていることから、その推移を見守ってまいりたいと思っております。」

 小笠原諸島の住民も都民である。舛添知事の答弁を聞く限り、防空識別圏の設定が国の専管事項という理由を持ち出し、推移を見守るという態度は、都民である小笠原諸島の人たちを見捨てているのと同じ態度である。

 本来ならば、古賀議員が言うように、国(防衛省)に対し、申し入れをするぐらいの行動に出るべきではないのか。それが東京都の最高責任者である舛添知事の役目のはずだ。

 古賀議員は小笠原諸島に加えて、竹島や北方領土が防空識別圏から外されていることも指摘している。

 より多くの国民にこの現実を知ってもらうためにも、国会の場でも取り上げてほしい問題だ。

(濱口和久)