「対抗軸」でバラバラ

 菅直人元首相、赤松広隆衆議院副議長、江田五月元参議院議長を含む民主党内のリベラル系議員15名が会合を開き、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使を容認しないよう党代表の海江田万里氏に申し入れることを決めた(産経新聞6月6日付)。

 海江田氏に対し「自民党の対抗軸として行使容認への反対を6月11日の党首討論で明確にしてほしい」などの意見も出たと記事は伝えている。

 一方、日本維新の会、みんなの党は憲法解釈の変更には賛成のスタンスをとっており、同じ野党でも対応はバラバラだ。

 自民党と連立を組む公明党も、憲法解釈の変更には消極的であり、国会の会期も残りわずかになり、最終的にどこに落ち着くのか不透明な情勢が続いている。

 菅元首相をはじめとする民主党議員の中から、「自民党の対抗軸として行使容認への反対を明確にするべき」とする意見が出ているが、民主党はいやしくも一度は政権を担ったことのある政党であり、菅氏は首相も経験している。「対抗軸」で日本の安全保障上の重要な政策に反対することは、無責任極まりない態度だと言えるだろう。

 民主党内には、元防衛副大臣の長島昭久氏をはじめとして、行使容認に賛成している議員もいるが、どこまで自身の信念に基づいて行動する気があるのか甚だ疑問である。

 なぜなら昨年12月の特定秘密保護法案の採決でも、民主党議員の中には、賛成の者もいたと聞いているが、最後は全員が反対したからだ。

 特定秘密保護法は、集団的自衛権の行使と並んで今後の日本の安全保障を考える場合には、絶対に必要な法律であり、民主党のとった態度では、二度と政権を担う資格はない。

 自民党も憲法解釈の変更に消極的な公明党に配慮しているが、妥協の産物として公明党と合意するのではなく、いっそのこと、この問題を争点にして、安倍晋三首相は衆議院の解散・総選挙をしたらどうだろうかと、私は思うのだが…。

(濱口和久)