トムヤンクンは総菜ータイから


地球だより

トムヤムクン(Wikipediaより)

トムヤムクン(Wikipediaより)

 伝統的なタイの料理法は、煮る焼くといたってシンプルだった。タイの食文化はわが国同様、基本的に米を主食とし焼き魚を副食としてタンパク質を摂取、さらにハーブなどの生野菜を生食した。

 タイ料理というとトムヤンクンに代表される甘い辛い、それに酸味が混然一体となった濃厚料理というイメージがある。日本でもすっかりお馴染(なじ)みとなった。インディカ米であるタイ米は細長くぱさぱさしていて、とてもおにぎりにはできないものだが、グリーンカレーやトムヤンクンなどにはぴったり合っている。

 南国の風土がつくりだした絶品トムヤンクンの「トム」は煮る、「ヤム」は混ぜる、「クン」はエビのこと。いわばトムヤムクンとは、煮て混ぜて作る海鮮料理だ。

 なおトムヤンクンは「世界の三大スープ」とされることから、スープと思われがちだが、タイ人にとってはスープではなく、あくまでご飯と一緒にいただく総菜という感覚だ。

 だからというか、あっさり感よりはご飯のおかずとして味わえる濃厚さが印象的なのがトムヤンクンだ。食してみるに、なるほどぱさぱさのインディカ米にしっとりとしみ込んで、総菜としては一流の域に達している。

 一流たるゆえんは、3味(甘辛酸味)の絶妙なバランスは無論のこと、エビの殻から出る出汁(だし)、レモングラスやコブミカンの葉、それに生姜(しょうが)と青唐辛子プリッキーヌなどの香辛料がぜいたくに使われていることだ。

(I)