ワクチン接種で牛を贈呈ーフィリピンから
地球だより
フィリピンでも本格的に新型コロナウイルス用のワクチン接種が開始され、医療従事者や基礎疾患を抱えた対象者を中心にすでに数百万人が接種を受けた。
しかし、依然としてワクチンに抵抗がある人たちも多く、最近の世論調査では「接種を希望する」は35%に止(とど)まり、33%が「希望しない」、35%が「考え中」という結果になっている。これは過去に政府が進めたデング熱ワクチン接種で副作用が確認され、急きょ中止になったことがあり、ワクチン不信が国民に根付いたためだ。
しかし、集団免疫を獲得するには、少なくとも70%の国民にワクチン接種を行う必要があると政府は説明していて、各自治体では接種促進のためさまざまな知恵を絞っている。
パンパンガ州のある町では、町長がワクチン接種をした住人に抽選で牛を提供すると発表した。町長によると特に高齢者を中心にワクチン接種に否定的な住人が多く、啓蒙(けいもう)活動の一環として牛のプレゼントを思い付いたという。
さらにマニラ首都圏のラスピニャス市では、ワクチン接種を済ませた住人に、抽選で土地付きマイホームが当たるキャンペーンを実施している。年末に抽選が行われる予定だ。また、別の抽選も毎月行われ、接種者の中から10人に約1万円相当の食料品が贈られるという。
政府は最も感染者が多いマニラ首都圏で集中的に接種を実施し、年末までに集団免疫を獲得するとしている。
(F)