新型肺炎 中国軍の生物兵器専門家が移動実験室設置し対策主導
中国軍の生物化学兵器専門家の女性少将、陳薇氏が1月末、生物兵器の研究に関与していた可能性が指摘される湖北省武漢の「武漢ウイルス研究所」に送り込まれたことから、新型コロナウイルスと同研究所との関連をめぐる疑念が強まっている。
陳氏は、生物化学兵器防御の「中国一の専門家」とされ、2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)、その10年後に起きたエボラ出血熱の封じ込めにも取り組んだことで知られている。1988年に中国軍に入隊、軍医学研究所で博士課程を修了し、バイオ・ハザード予防対策計画専門家チームのリーダーも務めている。陳氏は、武漢に移動式実験室を設置、7日に活動を開始した。
その一方で中国は、世界保健機関(WHO)、米疾病対策センター(CDC)の対策チームが、新型肺炎への対応に参加するのを阻止し続けている。
中国政府は、WHOの調査チームの一員としてCDCの専門家を受け入れる意向を表明しているものの、実現しておらず、アザー米厚生長官は14日、専門家チームの受け入れ許可を改めて中国政府に求めた。
ホワイトハウスのケルビン・ドログマイヤー科学技術政策局長は、新型コロナウイルスには、自然に起きる突然変異では起こり得ない「インサーション(挿入)」があり、実験室で操作された可能性があるとしたインド人科学者の論文が最近になって撤回されたことに言及、「これらの問題は、今起きている問題だけでなく、将来の発生に備え、コロナウイルスの動物と人の間、環境を通じた感染について理解するために重要だ」とウイルス発生源の解明の重要を強調した。
複数のメディアが、ウイルスが人工物である可能性を否定する専門家の指摘を伝える一方で、武漢の研究所からの流出の可能性は否定し切れないとの主張もあり、専門家の間でも意見は一致しない。
武漢ウイルス研究所は、国際基準で危険度が最も高い病原体を扱える「バイオセーフティーレベル(BSL)4」を満たす中国で唯一の研究施設。武漢で生物兵器研究を行っているとみられる二つの研究所のうちの一つだ。
中国政府当局者は、ウイルスの発生源は武漢の海鮮市場との見方を示している。しかし、 英医学雑誌ランセットに掲載された研究論文では、新型コロナウイルスに感染した最初の患者は海鮮市場とは無関係だったことを指摘している。