マティス米国防長官搭乗機、通信機器持ち込み禁止
中国サイバー攻撃を警戒
記者(ビル・ガーツ)は6月下旬、マティス米国防長官の訪中に同行、搭乗機では、スマホ、ノートパソコンなど通信機能のある電子機器の機内持ち込みは禁じられ、中国国内に持ち込んだ機器の持ち帰りも禁止されるなど、中国からの通信機器に対するスパイ活動に備え、厳重な対策が取られていた。
搭乗機E4Bは、核戦争などの場合に指揮機となる米軍の空中指揮機で、ボーイング747を軍用に改造したもの。搭乗した10人の記者らは2日間の日程中、中国のハッキングに備えて電子機器の持ち込みが禁止された。
安全保障当局者によると、中国国内でのサイバースパイ活動によって、ウイルスなどのマルウエア(悪意あるソフトウエア)がスマホやパソコンに埋め込まれて、帰国時に機内で情報収集が行われる可能性があるという。
E4Bは、米軍の中でも機密性の高い装備であり、核戦争時に司令官らが通信に使用する指揮管制システムの重要な部分を担っている。中国軍にとってはサイバースパイの魅力的な標的となり得る。
搭載された電子・通信機器への侵入を許せば、中国軍が、核戦争時に指揮系統を遮断、混乱させたり、指揮管制システムへのスパイ活動を行うことが可能になる。
中国が、情報収集をしたり、将来のサイバー攻撃のために米軍の指揮管制網を標的としていることはよく知られている。ホテルのカードキーに盗聴器が仕込まれていたという例もある。そのため、同行記者団は、北京でE4Bに搭乗する際、ホテルのカードキーをすべて破棄するよう求められた。
中国の情報・安全保障機関は、国内の外国人へのスパイ活動に1万5000人の職員を動員している。マティス氏のような要人は、優先的なスパイ活動の標的となり、サイバースパイだけでなく、人員を動員した大規模な監視も実施される。
同行した記者、政府職員らは、使い捨て携帯の使用を命じられた。中国内で使用し、出国時に廃棄するためだ。
また、記者らが中国に持ち込んだノートパソコンは破棄するか、現地の支局に置いていくことを求められていた。ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ウォール・ストリート・ジャーナル各紙の記者らは、現地支局にパソコンを残して帰国。現地に支局がないメディアは、電子機器を帰国時に破棄するか、全く通信手段がないままの取材活動を強いられた。
記者はリスクはあるが、現地で、中国製のパソコン「レノボ」をレンタルした。レノボは、安全保障上の理由から国防総省での使用は禁止されている。






