自衛隊員確保は死活問題

 東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)から3月11日で7年が過ぎた。発災当初から行方不明者の捜索や避難者の救援・復旧活動に当たったのが自衛隊だ。

 自衛隊は、人員約10万7000人(陸上自衛隊約7万人、海上自衛隊約1万5000人、航空自衛隊約2万1600人、福島第1原発対処約500人)を動員。予備自衛官も初めて招集した。そして、航空機は約540機、艦艇は59隻が派遣された。災害派遣としては最大規模のオペレーションだった。

 活動実績は、人命救助1万928人、遺体収容は9487体。物資等輸送は約1万1500トン、医療チーム等の輸送は1万8310人、患者輸送175人。給水支援が約3万2820トン、給食支援が約447万7440食。入浴支援は約85万4980人、衛生等支援は約2万3370人に上った。

 自衛隊の活動する姿は、東北の被災地の人たちだけでなく、日本全国から高い信頼を得たことは記憶に新しい。国民の多くが災害時の自衛隊の活動に期待していることは、世論調査の結果などからも明らかだ。東日本大震災後も、日本国内では災害が後を絶たない。そのたびに自衛隊は出動し、多くの人から感謝されている。

 だが、今後起こることが予想されている南海トラフ巨大地震などの広域災害の場合、陸海空自衛隊約23万人だけで対応できるかは甚だ疑問だ。それに加え、少子化の中で、新隊員の募集状況も悪化している(防衛省関係者)。

 今後、少子化は自衛隊においても、新隊員を確保する上で、深刻な問題となってくるだろう。現状でも、充足率を下回っている部隊や艦艇が数多くある。安定的に新隊員を確保できなくなれば、自衛隊は機能麻痺状態となる。

 さらに言えば、自衛隊の装備品がどんなにハイテク化したとしても、操作する人がいなければ、ただの高価なガラクタと同じである。

 国防も、災害派遣も、国際貢献も、自衛隊は人がすべてであり、少子化は自衛隊にとっても、死活問題なのだ。

(濱口和久)