殉職自衛官追悼式に思う

 平成28年度自衛隊殉職隊員追悼式が22日、防衛省で執り行われた。追悼式には安倍晋三首相、稲田朋美防衛相と遺族らが参列した。

 追悼式では新たに31柱の名簿が慰霊碑に奉納された。内訳は、陸自7人、海自12人、空自10人、防衛大1人、防衛医科大1人だ。これまでの殉職隊員数は、警察予備隊の時から数えると1909人となる。

 安倍首相は追悼の辞の中で「ご遺志を受け継ぎ、国民の命と平和を守り抜いていく」と述べ、献花した。

 産経新聞(23日付)によると、「追悼式に出席した現職の国会議員は13人で元職は5人。このうち現職の野党議員は民進党の大野元裕参議院議員だけ。(中略)防衛省は国会議員に関し、元首相と同省の元政務三役に追悼式の招待状を出している。また、自ら出席を申し出た場合、席に余裕があれば受け入れている」としている。

 私はこの記事を読んだとき、防衛省の政務三役を務めた経験がありながら、追悼式に出席しない国会議員には強い憤りを覚えてしまった。政務三役在任中に部隊や訓練の視察・見学を通じて、日本の防衛を担う隊員たちの気持ちや苦労などを理解しているならば、殉職した隊員の追悼式には必ず出席する責任があると思うのだが・・・。

 地元選挙区の行事と追悼式の日程が重なったことを理由に出席を見送ったとするならば、さらに呆れるばかりだ。追悼式に出席しても、選挙の時に一票にもならないとでも思っているのか。選挙区の行事よりも国家の行事(追悼式)に出席する方が、国会議員としての大事な務めではないのか。

 産経新聞の記事からだけでは出席しなかった政務三役経験者の名前は分からないが、その中には、与野党を問わず、日頃から党の外交・防衛部会の役職に就いていたり、テレビ番組に出演しては防衛問題に詳しい顔をしている議員もいるに違いない。

 防衛省の政務三役経験者でもこの程度であることを考えれば、その他の国会議員の自衛隊に対する認識は推して知るべしだろう。

(濱口和久)