スマホの“火消し”いつに
地球だより
以前、韓国最大手財閥サムスンの系列研究所に再就職した、こちらの元政府高官をインタビューした際、持っていたスマートフォンで撮影しようとしたら「なぜiPhoneの携帯を使っているのか」と言われたことがある。彼が言わんとしたのは、スマホの世界シェアトップのサムスン製をなぜ使わないのか、ということだったらしいのだが、いかにも誇らしい気持ちを抱いている様子だったのを覚えている。
そのサムスンが新型「ギャラクシーノート7」でバッテリーから発火する事故が相次ぎ、リコールやら生産・販売中止やらで窮地に追い込まれている。「火を噴くスマホ」という不名誉なイメージが世界に広がり、ついに米運輸当局は機内持ち込み禁止令を出し、国土交通省もこれに追随。英国では郵便局が郵送受け付けを拒否した。韓国経済を牽引(けんいん)してきた企業の、しかも稼ぎ頭だったスマホの不祥事による打撃は半端ではない。
事故原因はまだ発表されていない。単なる技術的欠陥か、あるいは「早く、早く」と開発競争を急ぐ韓国人気質がもたらした人災なのか。ある筋からは、北朝鮮弾道ミサイルに対抗する迎撃ミサイルシステム導入を決めた韓国に猛反発した中国が産業スパイを使って意図的に起こした事故――という大胆な仮説まで飛び出す始末。今サムスンの名誉回復にとって肝心なのは正確な原因究明をそれこそ「早く、早く」である。
(U)