機動隊員発言問題の本質


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 沖縄県の米軍北部訓練場(東村)で警備に派遣されていた大阪府警の機動隊員が反基地活動家に「土人」と発言した問題の波紋が広がっている。

 翁長雄志知事は20日、池田克史県警本部長を県庁に呼び出し抗議した。また、記者会見では、松井一郎大阪府知事がソーシャルメディアで「表現が不適切だとしても、大阪府警の警官が一生懸命、命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様」とコメントしたことに対して不快感を示した。

 職員の発言は決して擁護できるものではないが、どのような状況下で発せられたのか、環境や背景など全体を見なければ公平な判断はできない。

 そもそも、大阪など全国から機動隊が沖縄本島北部の東村高江に集まっているのは、県警だけでは全国から集結した過激な反基地活動家に対する警備に手が回らないからである。しかも、暴力革命を是とする極左集団が参加していることも県警は認めている。

 高江の現場では、職員の帽子やマスク、サングラスをもぎ取りながら「二度と来るな」「死ね」と吐き捨てたり、「(工事現場近くに違法設置した)テントに連れ込んでやる」などと脅しの言葉も聞こえる。

 さらには、普天間飛行場(宜野湾市)の移設先の名護市辺野古には反対派が違法設置したテントに機動隊員の顔写真と名前が張り出され、機動隊の人権はないがしろにされている。辺野古の機動隊に激励に行った石垣市議は「おまえの家も家族も知ってる」と脅迫されたこともある。

 辺野古や高江での反基地活動は翁長氏が知事に就任してから激しさを増した。こうした状況を招いてしまったことに対して、翁長氏から謝罪の言葉があってもいいのではないか。(T)