アジア通不在の米政権 ケリー、ライス両氏を友軍に

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撮影に応じる日米韓3カ国外相=7月1日、バンダルスリブガワン(EPA=時事)

 中国の一方的な防空識別圏設定で東北アジアで覇権争いがエスカレートしている。今回の戦いで収める戦果によって、朴槿恵大(パククネ)統領、習近平中国国家主席、安倍晋三日本首相、バラク・オバマ米大統領に対する歴史的な評価が分かれることになる。

 オバマ政府は2011年に「アジア中心軸戦略」を宣言した。米国が「テロとの戦い」から抜け出し、世界成長のハブであるアジア太平洋地域に重心を置く対外政策路線を展開するというのがその核心だ。米の朝野はこれに拍手を送った。

 アジア重視政策の核心設計者はヒラリー・クリントン前国務長官とトーマス・ドニロン前国家安全保障担当大統領補佐官だ。アジア中心軸という用語を初めて使ったのもクリントン氏だった。

 ドニロン氏はイラクとアフガニスタンからの米軍撤収を陣頭指揮し、シリア内戦介入を拒否して、米中関係の新しい時代を開くことに力を傾けた。ティモシー・ガイトナー財務長官(当時)もこれに加勢した。

 クリントン、ドニロン、ガイトナーはオバマ1期目にアジア重視政策の青写真を提示した後、2期目には全員が現職を離れ、本格的なアジア重視政策時代を開く責任を次の外交安保チームに託した。

 しかし、現在、この中にアジア通は一人もいない。クリントン氏の後任ジョン・ケリー国務長官、ドニロンを引き継いだスーザン・ライス国家安保補佐官、ガイトナーからバトンを受けたジェイコブ・ルー財務長官は、みなアジアと特別な縁がなかったり、アジアにそれほど関心のない人物で、ケリー長官はひたすら中東問題にだけ熱情を注ぎ込んでいる。

 2期目にアジア政策を誰が主導するのかも不明だ。1期目の初期にはジム・スタインバーグ国務副長官とジェフリー・ベイダー国家安保会議アジア担当専任補佐官、1期後半にはドニロンとカット・キャンベル国務次官補(東アジア太平洋)がアジア政策のツートップだった。彼らもやはり、みな現職から離れた。

 米国外交専門家たちは現外交安保チームに不安な眼差(まなざ)しを送っている。米外交協会(CFR)のエリザベス・エコノミー専任研究員は、「ドニロンとクリントンが離れた後に、誰もアジアに関心を傾けていない。現外交安保チームはアジアに無関心で、アジアに関する限りアマチュア」と酷評した。

 韓国は防空識別圏という外交難題を解きながら、アジア通不在の米国外交安保チームを相手にしなければならない。尹炳世(ユンビョンセ)外交部長官、金章洙(キムジャンス)国家安保室長は中国と日本のペースに巻き込まれないように、アジアにこれといった関心のないケリー長官とライス補佐官を韓国の友軍として固く繋(つな)ぎ留めておく外交力量を発揮しなければならない時だ。

(鞠箕然〈クッキヨン〉ワシントン特派員、12月2日付)