沖縄の平和教育の是正を
モンゴル国際経済経営大学客員教授 徳松信男氏が講演
NPO法人沖縄の教育を考える会(﨑山用豊会長)は8日、沖縄県南風原町で石垣市在住でモンゴル国際経済経営大学客員教授の徳松信男氏を招いて講演会を行った。「沖縄県における教育の問題と郷土の真の平和と発展を考える」をテーマに講演した徳松氏は、沖縄では基地問題に隠れて教育問題、戦後イデオロギー、尖閣諸島をはじめとする領土問題があまり論じられていないと指摘。石垣島から中立な教育を行う必要性を訴えた。以下は講演の要旨。(那覇支局・豊田 剛)
「基地否定で思考停止」
是正妨げるマスコミと教職員組合
石垣市で2月28日、小学校教師が教員仲間との2次会で飲酒した後に車を運転し、ひき逃げし死亡させたというニュースが報じられた。学校現場がたるんでいる証拠だ。
「教育は国家百年の計」という言葉があるように、現代社会の政治・社会問題は教育に関連している。いじめによる殺人事件、中国公船による尖閣領海侵犯、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設、与那国島への自衛隊配備及び配備の是非を問う住民投票にしても当てはまる。
沖縄における平和教育では、戦争の悲惨さを訴え、「日本兵が悪いことをした」「軍隊は住民を守らない」と教える。フィールドワークでは戦跡巡りを行い、避難壕から住民が追い出されるという解説をしている学校もある。
学校教育などでは「二度と戦争を起こしてはならない」と言うが、「戦争はなぜ起きるのか」「どうやって戦争を回避するか」あるいは「万が一、戦争が起きた場合はどう対処すべきか」を考えない。反戦平和をかたくなに守っても侵略されるリスクはある。
基地を否定するだけで思考停止に陥っているのが現実。石垣市の玉津博克前教育長は、「平和教育における思考停止」と言ってマスコミや教職員組合から非難されたが、それは真実だ。一切ディベートができる状況にない。
玉津氏は教育長に就任してまず、八重山採択協議会の教科書調査員である教員が教科書選定を追認していた従来の協議会の在り方を改める「ルール改正」に着手した。ところが、中学公民教科書で育鵬社版が採択されると、マスコミや教職員組合を中心に激しい反対運動が起きた。
育鵬社版及び自由社版は、尖閣諸島が日本固有の領土であることを詳述し、自衛隊の役割も高く評価。自尊心を持たせるような書き方になっている。
一方、竹富町教委が最終的に採用した東京書籍版は領土問題の記述が少なく、自衛隊に否定的で、東京裁判史観の影響を受けているものだ。
そもそも、八重山地区協議会の構成がおかしかった。人口が石垣市の10分の1しかいない竹富町の委員数は同じ5人である。
東京書籍版は沖縄県の位置付けもおかしい。琉球とアイヌを一緒にして書いていることには違和感がある。
昨年は琉球古武術保存振興会としてフィンランドで開催された古武道国際セミナーに参加した。フィンランドはロシアと戦って独立を守り抜いたが、バルト3国は戦わずして併合された。では、沖縄県はどうするか考えるべきだ。
尖閣諸島が国有化されたことは技術的な問題であり、対外的には何の影響もない。翁長雄志知事の施政方針では尖閣諸島問題に一切触れていない。
それでは、尖閣諸島の主権を守るためにどうするべきか。いくつかの提案をしたい。
①尖閣諸島を世界自然文化遺産に登録させたい。特に魚釣島の住居跡や石垣はそれに値する②米国の大手紙に「尖閣諸島は日本の領土」と1面広告を出すのも効果的だ。国際社会へのアピールになる③石垣市には尖閣諸島資料室または博物館を設置し、新石垣空港の地図の中に尖閣諸島を入れるべきだ④県と石垣市はホームページで尖閣諸島の所属を明記して発信すべきだ。
=メモ=
とくまつ・のぶお 1942年沖縄県石垣市生まれ。早稲田大学第一政経学部卒、ハワイ大学大学院(経済学)修了。東海大学講師、常葉学園大学外国語学部教授、放送大学客員教授を経て現在はモンゴル国際経済経営大学客員教授、琉球古武道保存振興会相談役を務める。尖閣諸島に関する論文多数あり。