今後の沖縄県政占う県議選、6月に投開票

保守・中道と革新が過半数の攻防

 2020年は沖縄県政の今後を占う年になる。6月に投開票される予定の県議選まで半年を切った。中道保守が過半数を12年ぶりに獲得できるかが焦点となる。結果次第では、普天間飛行場(宜野湾市)の移設をはじめとした基地問題や21年度に期限を迎える沖縄振興特別措置法など、県政の諸政策に影響を及ぼす。(沖縄支局・豊田 剛)

立憲民主台頭で革新分裂も、多くの選挙区で競合が予想

 県議会は現在、定数48のうち、欠員が出ている2議席を除くと、知事を支える革新系与党が26人、野党は自民が14人、中立の公明が4人、旧維新系が2人だ。

 12年間、県議会少数派に甘んじた自民党は2期8年間知事を務めた仲井真弘多(ひろかず)元知事を最高顧問に据え、保守中道による過半数奪還に並々ならぬ決意を示している。

沖縄県議選、保守・中道と革新が過半数の攻防

自民党県連は公認予定候補者に公認証を交付した=7日、沖縄県那覇市のホテル

 7日、那覇市のホテルで開かれた自民党沖縄県連の新春の集いは、仲井真氏を中心とした幅広い声掛けが奏功し、昨年よりも参加者は圧倒的に多く、県政奪還に向けて「雰囲気がとても良いものだった」(下地敏彦宮古島市長)。

 集いでは、中川京貴(きょうき)県連会長が、県議選では普天間飛行場の名護市辺野古移設をはっきり打ち出して戦うと宣言。続いて登壇した仲井真氏は、普天間飛行場の移設問題で停滞している現県政を強く批判した上で、辺野古移設を堂々と訴えるよう強く求めた。

 保守系が議会で過半数になるには25議席が必要だ。自民の公認・推薦候補と公明の公認4人が全員当選して過半数獲得を目指す。それが達成できない場合は、旧維新系を加えて過半数を達成させたい考えだ。

 仲井真氏は、那覇市や浦添市など、「ポイントの選挙区を一つひとつしっかり押さえていけば、理論上、過半数の奪取は可能」と自信を示す。あとは、18年の知事選で割れた自民と産業界が再びまとまることだと強調する。

 一方、玉城デニー知事を支える「オール沖縄」革新陣営は一枚岩ではない。国政レベルでは社民党が立憲民主党に吸収されるため、勢力図が大きく変わることも予想される。

 4年前の前回は、社民と地域政党・沖縄社会大衆党(社大)、共産、会派おきなわの革新3会派で候補者のすみ分けがある程度できていたが、立憲民主が台頭した影響で、多くの選挙区で競合が予想される。

 国政レベルでは、立憲民主沖縄県連会長の有田芳生参院議員が、ソーシャルメディアで県議の候補者を募り、那覇市など複数の選挙区で擁立することは確実だ。また、社民や共産などの既存勢力は潰(つぶ)し合いを危惧する。

 今年中に実施される可能性のある衆院選の候補者選びでも難航している。普天間飛行場を抱える宜野湾市など基地所在市町村が多い2区は、社民の照屋寛徳氏(74)が今期限りの引退を決めているが、13日になってようやく新垣邦男北中城村長の擁立の目処(めど)がついたばかりだ。また、沖縄本島南部と八重山諸島からなる4区は、前職は無所属だったが、立憲民主が独自候補の擁立を模索しており、候補者選びの難航が予想される。

県議会の現勢力(定員48、うち欠員2)

【与党】         【中立】    【野党】
 社民・社会大衆党 11人 公明 4人   自民 14人
 おきなわ 8人      旧維新系 2人
 共産 6人
 無所属 1人


現県政では沖縄は退行

仲井真弘多・自民党県連最高顧問

 7日に開催された自民党沖縄県連の新春の集いでの仲井真弘多氏の発言要旨は次の通り。

沖縄県議選、保守・中道と革新が過半数の攻防

仲井真弘多・自民党県連最高顧問

 基地負担軽減のために、普天間飛行場周辺の住民に対し、翁長雄志、玉城デニー両知事は救いの手を差し伸べたか。基地負担を何も解決しない県政は全く意味がない。移設先である名護市が受け入れる姿勢を示している以上、県民全体で辺野古移設を推進していこうというのは当然の話だ。

 県政を牛耳っている「オール沖縄」勢力は基地問題を一つも前進させていない。辺野古の代替施設を「新基地」と言うなど、物事を正確に表現しようとしていない。「新基地なら反対」と言っているが、代替施設の面積は現在の半分以下になる。必要なのは地道な基地の整理縮小だ。空理空論、原理主義は追放しなければならない。

 稲嶺恵一知事と私で4期16年間の間、沖縄の将来像を描く「21世紀ビジョン」を作成した。その結果、失業率は下がり、有効求人倍率は大きく改善された。観光業はダイナミックな産業になった。一方、革新県政はそれを進めていない。何も種まきしなければ、沖縄は退行期に入り始める。

 国際環境は中国、チベット、ウイグル、香港、台湾の問題があるが、沖縄はこうした地域を避けて考えることはできない。それにもかかわらず、地元メディアは尖閣諸島の現実をほとんど報道しない。

 沖縄をもう一度変えていこう。小異を捨てて大同につけば沖縄を変えることができる。