信頼失う米大手メディア、公平な大統領選報道を放棄
インタビューfocus
ワシントン・タイムズ紙コラムニスト チャールズ・ハート氏
米大統領選で共和党ドナルド・トランプ氏の勝利を予想した米大手メディアは皆無だった。ワシントン・タイムズ紙コラムニストのチャールズ・ハート氏は、本紙のインタビューに、トランプ氏を「破滅」させようとした大手メディアは、公平性を欠いたリベラルな偏向報道によって「信頼を完全に失っている」と批判した。(聞き手=ワシントン・早川俊行)
米大手メディアはなぜトランプ氏の勝利を予測できなかったのか。
大手メディアはワシントンやニューヨークといった世界で最も裕福な都市に集中し、金持ちで力のある人々に囲まれている。だが、選挙で投票し、誰を大統領にするかを決めるのは、ワシントンやニューヨーク以外に住む一般の米国民だ。大手メディアは一般国民の存在を完全に忘れ、彼らの感覚と乖離(かいり)していた。
不法移民、貿易協定、テロ対策などトランプ氏のメッセージは一般国民に本当に共鳴していた。大手メディアはこれらの「隠れトランプ支持者」の存在を完全に無視した。
大手メディアはトランプ氏の勝利を望んでいなかったため、それは起こり得ないと勝手に思い込んでいた。だから、選挙結果に衝撃を受け、今なおショックと驚きに包まれている。
大手メディアのリベラルな偏向報道は以前から問題視されているが、今回の大統領選ではどうだったか。
今まで見たことがないほどの偏向ぶりだった。公平な選挙報道を装うことさえ放棄していた。トランプ氏を破滅させようとし、事実などどうでもよかった。完全なプロパガンダだ。
大手メディアはトランプ氏を破滅させるためにあらゆることをしたが、それでも敗れた。彼らが今なお選挙結果にショックを受けているのはそのためだ。
大手メディアは自分たちの影響力がいかに小さいかを信じることができないでいる。米国民はずっと前から彼らに耳を傾けるのを止(や)めているのだ。
大手メディアは国民の信頼を失っているのか。
そうだ。彼らが信頼を失い始めたのは、10~20年前からだ。多くの米国民がニューヨーク・タイムズ紙やテレビ局が報じることを信じなくなった。揺るぎないリベラル偏向によって自ら批判材料を与えてしまっている。
私は新聞業界で育った。新聞が大好きであり、新聞の発展を願っている。だが、信頼を失ったのは自業自得だ。
大手メディアを信用しない米国民は、どのように情報を得て判断を下しているのか。
インターネットには既存メディアに対抗するウェブサイトが溢(あふ)れている。多くの国民がこうした代替メディアから情報を得るようになった。
また、ユーチューブでトランプ氏の演説を直接見るなど1次情報に頼る有権者も増えている。トランプ氏の批判しかしない大手メディアは、信頼を完全に失っている。
大手メディアは選挙結果から何を学ぶべきか。
「普通の米国」で時間を費やすべきだ。カンザス州の小さな町に行き、人々が直面する課題や関心事を理解する必要がある。 だが、彼らは(選挙結果から)何も学ばないだろう。これは断言できる。彼らは優雅な生活を続けるだろう。
選挙後も大手メディアはトランプバッシングを続けている。これが4年間続くのか。
続くだろう。彼らはトランプ氏が独裁者のように支配し、言論の自由が奪われると恐れている。そんなことをするはずがない。ばかげている。
私が抱く疑問は、トランプ氏とそのチームがどう対応するかだ。トランプ氏は今後も代替メディアやツイッターなどを使って国民とコミュニケーションを図るのか、あるいは大手メディアに近寄ろうとするのか。トランプ氏は直接国民に訴えるのが非常にうまい。大手メディアに接近しなければならない理由はない。






