オバマ前米政権の失策、過激派抑止とは逆の結果に
ムスリム同胞団とアラブ モハメド・F・ファラハト氏に聞く(4)
米国はムスリム同胞団をどうみているのか。
米国のオバマ政権時代と今日では答えが違うと思う。トランプ政権は、ムスリム同胞団は中東地域にとって危険だということに気付いた。オバマ政権は、同胞団を支援すれば地域の安定、アラブ世界の安定を達成し得ると考えた。イスラム団や聖戦グループなどの過激派をストップさせ得ると考えたのだ。
オバマ政権は、同胞団はイスラム国家とイスラム社会を打ちたてることを目指してきたと考え、それを支援しようとした。そうすれば、イスラム団やアルカイダ、「イスラム国」(IS)などの聖戦主義グループは暴力を使わなくなると想像したのだ。
それはなぜか。
イスラム国家ができれば、暴力を使う必要がなくなったと考え、テロは停止されるだろうと考えた。しかし、実際には反対のことが起こった。同胞団は、エジプトの聖戦主義者と協力し、市民、非宗教的な勢力、世俗主義政党とは協力しなかった。すなわち、同胞団が中東地域に安定をもたらし、世界と地域のテロを終わらせるとオバマ政権が想像したことは間違いだった。
今後、アラブ4カ国とカタールの関係はどうなっていくと思うか。
多くのシナリオがあると思う。ただし、アラブ4カ国とカタール間には、淀みのようなものがある。近い将来に変化はないということだ。2年間ぐらいはこの状態が続くと思う。
カタールの内部で何かが起こるというシナリオもあり得る。カタール政府内の複数のアナリストによると、カタールを実際支配しているのはタミム首長の父親で、首長ではないという。
このシナリオは、タミム首長が父親と母親の影響力を排除し、実質的に政府を運営し、カタールの政策を変えるというものだ。この分析によると、タミム首長は、カタールとアラブ諸国との関係・政策について満足しておらず、同胞団との関係もトルコ、イランとの関係に関する政策も変化させたいと思っているという。このシナリオによると、タミム首長は、両親とカタール政府に対するクーデターを起こして政策を変えることになる。
カタールとの妥協は、アラブ世界内のカタールの影響力を強め、イランとトルコの影響力を強めることになるため、受け入れられないと思っている。そのため、最初のシナリオのように、アラブ4カ国もカタールも前提を変えず、主張し合うと思う。外交関係の変化はカタール内部からの変化によって起きるのではないか。(カイロ・鈴木眞吉)
=終わり=











