カタール断交、米政権交代が引き金に
ムスリム同胞団とアラブ モハメド・F・ファラハト氏に聞く(1)
サウジアラビアとエジプト、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンのアラブ4カ国が、6月5日、カタールと断交して、まもなく3カ月が過ぎようとしている。断交の理由の一つが、過激派諸組織への支援を続けるイスラム主義組織「ムスリム同胞団」を擁護するカタールへの糾弾だった。アルアハラム・政治戦略研究所のモハメド・ファイエズ・ファラハト氏に「ムスリム同胞団」を軸に聞いた。(カイロ特派員・鈴木眞吉)
アラブ4カ国がカタールと断交した理由は何か。
第一の理由は、シリア問題でのイランのアラブ諸国内への影響力がカタールによって支えられていることだ。リビア情勢に対する影響力もある。カタールとイランとの関係はイエメンにも及んでいる。
なぜ、今年6月になってなのか。
決断する適切な時ではなかったということだ。多くの報告によると米国のオバマ前政権はムスリム同胞団(同胞団)を支援し、シリアの他の過激派グループと関係を持ちながらアサド政権に反対の立場を取っていた。しかし、トランプ政権になって状況は変化した。
トランプ大統領が、この地域のテロリズムについて語ったので、エジプトとサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)がカタールに、この地域でのネガティブな役割、即ち同胞団との強い関係を公式に非難できた。
エジプトは過去何度も米政権に対しそのことを語ってきたが、聞く耳を持たなかった。これははっきりしたことで、エジプトでの同胞団政権(モルシ政権)崩壊後、同胞団の主な人物はカタールに逃亡したのだ。カタールとトルコ以外に逃れる国がなかった。
カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは、エジプト軍、新政権(シシ政権)を批判するなど、同胞団擁護の主張を止めなかった。
エジプトやサウジはカタールと同胞団との関係についての証拠をたくさん持っている。アルカイダや「イスラム国」(IS)のような暴力的グループとの関係についての証拠もだ。
具体的な証拠は何か。
具体的証拠については話すことはできない。同胞団の問題はイデオロギーにある。そのイデオロギーはテロリズムと関係があるということだ。
エジプトの最も過激な「イスラム団」グループは、母体の同胞団から分派し、彼らのイデオロギーを確立した。イスラム団やISなど聖戦主義グループの課題は、イスラム国家の建国だ。
同胞団はイスラム国家を下から創るべきだと主張している。だから、イスラム国家の前にイスラム社会だと言う。したがって、政権と協力することも受け入れ、議会にも入り、選挙にも参加する。同時に彼らのネットワークを構築するのだ。病院や学校、職場、チャリティーなどだ。
これらのネットワークを通じてイスラム社会に導き、人々をリクルートし、イスラム国家建設につなげるのだ。
それに対し、イスラム団の主張は、イスラム国家を上から作る。すなわち、現政権を崩壊させ、イスラム法を施行してイスラム社会にする。命令によってイスラム社会を創るという方法だ。上から下へだ。






