「不透明」だったアラブの春


渥美 堅持

革命と捉え分析を誤る

東京国際大学名誉教授 渥美 堅持

 春の嵐のようにアラブの春は通り過ぎた。今や春雷の音も聞こえない。アラブ、中東はおろか世界を興奮させた革命という言葉は色あせ、犠牲になった人々の墓標が残された。組織も指導者も不在な運動は革命とはほど遠く騒乱とも言うべきものであった。国民が望んだ生活環境改革の声は沙漠の彼方に消え、意味のない破壊と魂の残骸だけが記憶の中で沙漠に現れる蜃気楼のように消えたり現れたりし、未だ硝煙と血の匂いが消えることはない。


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