韓米同盟関係は追憶となったのか


韓国紙セゲイルボ

韓米同盟関係は追憶となったのか

 文在寅大統領とトランプ米大統領は23日、ニューヨークで開かれた首脳会談で韓米同盟が韓半島と東北アジア平和・安保の核心軸であり、わずかな動揺もないと確認した。“揺れる同盟”に対する憂慮を意識したレトリックだ。だが、ワイルダー元米国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長は最近メディアとのインタビューで、韓米同盟崩壊の兆しに注目しなければならないと語っている。

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23日、米ニューヨークで会談するトランプ米大統領(右)と韓国の文在寅大統領(AFP時事)

 文政権の韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了決定は相変らず深刻な問題だ。米インド太平洋軍のフィル・デービッドソン司令官は17日の懇談会で、「領域内の長期的な戦略的脅威に対応するために韓米日3国が緊密に協力しなければならない」とGSOMIAの必要性を強調した。“領域内の長期的な戦略的脅威”とは中国を指して言ったものだ。韓米日安保協力が“差し迫った脅威”の北朝鮮を越えて、中国を包括していることを意味する。東西文化センターのデニス・ロイ首席研究員は、「安保を研究する学者らは韓国側にGSOMIA破棄の責任があると考える」と述べた。

 歴史的に同盟がよく機能するケースは“主敵”が同じである時だ。共通の敵に対抗してこそお互いの国益が保障される。1953年、韓米相互防衛条約が締結された当時、朝中は韓米軍が共に銃口を向けた敵だった。

 しかし、いまや南北関係を最優先する文政権が北を“差し迫った脅威”と見る米国と緊密に歩調を合わせられるだろうか。サード(高高度防衛ミサイル)を追加配置せず、米ミサイル防御システムに参加せず、韓米日軍事協力をしないという「3不」原則を明言した文政権が、中国を“長期的な戦略的脅威”と想定する米国に協力することができるだろうか。米当局者の間にこうした疑問が消えない限り、韓米同盟の亀裂は避けられない。

 大統領統一外交安保特別補佐官(文正仁氏)が「南北関係の最大障害物は国連軍司令部(米軍)」と公言するところに同盟の信頼関係があるか。

 文政権の核心である運動圏勢力は韓米同盟を米国の地政学戦略の副産物程度と見ている。対中国包囲という米国の必要によって、韓国を放棄できないという判断がその前提にあるが、果たしてそうか。トランプ大統領は自身や自国の政治・経済的利害のために同盟の価値を否定する可能性が濃厚だ。米の現実主義外交戦略家たちは共同の目標を共有しない同盟は再構成されるべきだと考える。文政権の親北・自主路線とトランプ政権のマネー路線は、66年の歴史を持つ韓米同盟を試験台に上げている。

 文政府が急ぐ戦時作戦統制権の移管もまた雷管だ。北朝鮮は核保有国の位置付けを固めて、中国は露骨に膨張戦略を展開し、日本との関係は最悪なのに、韓米同盟は揺れている。同盟が不安な国が無事なはずはない。

(黄政美編集人、9月25日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。