韓国外交、戦略的な決断を下す時


韓国紙セゲイルボ

米国側に立ち対日関係修復を

 韓国外交は乱脈の様相だ。北朝鮮との関係に過度に焦点を置くあまり、周辺国との外交がますます難しくなっている。米国、中国、日本など4強外交は方向性を喪失したまま流れている。

岩屋毅防衛相(右)とシャナハン米国防長官代行(中央)、鄭景斗韓国国防相

握手をする岩屋毅防衛相(右)とシャナハン米国防長官代行(中央)、鄭景斗韓国国防相(左)=2日午前、シンガポール(防衛省提供・時事)

 昨今の国際情勢を見てみよう。現在、米国は中国叩(たた)き一辺倒だ。中国の浮上を防ぐのは単純に貿易赤字の削減だけが目的ではない。世界の覇権国の地位を獲得するため二つの強大国がぶつかっているのだ。これはトランプ政権だけに限定されない。今後20~30年間、米中の対立関係が持続するだろう。

 米国は冷戦終結後、中国を米国中心の自由主義的国際秩序に吸収して自由化させ、共産党の統治力を弱体化させようという政策をとってきた。第2次大戦後に構築された自国中心の国際秩序に対する自信と共に、米中間で深く絡まっている経済的な相互依存性がその理由であった。

 しかし様相が変わり始めた。中国経済は共産党の強力な統制下で伸長し、中国の強力な民族主義は共産党独裁を容認し始めた。米国が展開してきたこれまでの対中政策は失敗に終わったのだ。

 トランプ政権は新しい対中政策を展開し始めた。貿易戦争を始めた米国は、ファーウェイおよび為替レート問題にまで戦線を拡大している。台湾問題を積極的に利用し、独立問題を刺激するために台湾への武器販売を始めた。南シナ海における中国牽制(けんせい)のための「航行の自由作戦」を積極的に推進している。

 このような状況で米国は「自由で開かれたインド太平洋戦略」に韓国の参加を強く要求し始めた。これに対し、中国経済に相変らず依存している韓国としては中国の経済報復を意識しないわけにはいかない。

 韓国が当面する外交的課題はこれだけではない。韓日関係は韓国にとり悩みの種となった。大法院の強制徴用賠償判決は日本に非常に大きい反感を呼び起こしている。過去、韓日関係で日本が感じた最小限の罪の意識もこれ以上容認できないという立場だ。安倍政権は米日関係の強化を通じて、強硬な外交政策に出ており、これは韓国の立場をますます難しくさせている。

 いまや韓国は外交的戦列を整えなければならない状況に置かれた。まず、米国が要求するインド太平洋戦略に積極的に参加しなければならない。今後の長期的な米中対立で米国の優勢が続くことを予想すれば、米国のアジア戦略に乗ることが韓国の国益を利する面がより多い。

 もう一つは韓日関係だ。現在、日本は米国を背負って対韓関係で優位を占めるという戦略だ。米国を利用した韓日関係の修復は現状況の下で韓国が受け入れなければならない次善策だ。韓国の外交的孤立を防いで長期的国益を作るための外交戦略的な決断が必要な時だ。

(金顯旭国立外交院教授、5月31日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

国際的な信頼失う文政権

 結局、国力と首脳間の信頼関係が外交の裏付けだという冷厳な現実を韓国は受け入れざるを得なくなってきた。これまで文在寅政権は南北関係だけに没頭し、北朝鮮に強い影響力を持つ米国と中国の動向に目を配りつつ、あたかも自身が重要な役割を果たしているかのように振る舞ってきた。

 しかし、対立する両陣営にとって韓国の行動は背信と映り、米中いずれからも信頼を得ることができず、結局、孤立して行かざるを得なかった。

 ここにきて、従来の自由民主主義陣営に軸足を置くしかないと政府を促す意見がメディアに溢(あふ)れだしている。国立機関である外交院の教授までが、旗幟(きし)を鮮明にすべきだと迫っている状況だ。

 だがそう簡単に韓国が信頼を得られるわけではない。米国は北朝鮮問題で何の働きもしていない韓国を見限り、日本政府は韓国の無対処に対し「戦略的無視」を取っている。韓国が対米、対日関係を修復するのは誰が見ても簡単ではない。

 韓国で最も読まれてきた日本の大河小説が山岡荘八の「徳川家康」(韓国では「大望」)である。関ケ原で家康側の催促の銃弾で寝返って東軍に付いた小早川秀秋の境遇を知らないわけではないだろう。

 世評は芳しいものではなく、卑怯な行為は世間の嘲笑を受けた。いつも日本に説教する「歴史に学ばぬ者は滅びる」を噛み締めてはいかがか。

(岩崎 哲)