対日外交が「ストップ」状態の文政府
名分に固執して実利失うな
今月10日、文在寅大統領の新年記者会見は韓日関係の現状を見せつけた席だった。約28分間のスピーチで両国関係には一言も触れず、90分ほど行われた質疑応答でも、対日関係に割かれた時間は5分もなかった。今度の新年会見の焦点が経済問題に当てられたという理由だけでは説明し難いようにみえる。日本に対する大統領府の気流が反映されたと見なければなるまい。対日外交の暗い未来を見るようだった。
文大統領はNHK記者が強制徴用判決に対する韓国政府の立場を問うと、「日本の指導者たちがその問題を政治争点化して、論議の的にして広めているのは賢明な態度ではない」と語り、「政府は司法府の判決を尊重するべきであり、日本も同じ」だとも述べた。大統領が1年の国政運営方針を説明する公式の席で、日本に対して不快感を表したのは異例だ。
強制徴用賠償判決で膨らんだ対立が「哨戒機レーダー論争」に広がり、韓日関係は凍りついた。国交正常化以来最悪といっていい。レーダー論争と関連し双方が感情的になって、互いに関連映像資料を公開し、強い言葉の応酬を行っている。
飛び火は国防白書にまで及んだ。韓日関係に関しこれまであった「自由民主主義と市場経済の基本価値共有」の表現が消えた。周辺諸国との軍事交流協力の順序は韓日、韓中、韓露から韓中、韓日、韓露の順に変わり、日本と「北核・ミサイルの脅威」に協力するとの内容もなくなった。日本側も先月発表の「防衛計画の大綱」で「(韓国は)米国の同盟国で基本的価値と安保上の利益を共有」との既存の表現を削除した。
韓日関係がこのようになったのは日本政府の責任が大きい。安倍政府に過去の歴史に対する反省は見られず、逆に国内の政治的利益のために両国の外交問題を利用する。レーダー論議でも日本政府は明確な証拠は提示せず、「明確な敵対行為」として韓国に謝罪を要求し、一方的に実務協議を中断。状況が不利になると手を引いた。23日はまた日本の哨戒機が離於島付近で韓国の海軍艦艇に近接飛行をした。
それでも政府が韓日関係を放置するような印象を与えるのは望ましくないが、水面下での外交が進められているという話も聞こえてこない。文在寅政府の対日外交は事実上「ストップ」状態だ。日本は北核問題で外せない安保協力パートナーである。経済問題でも韓国と不可分の関係だ。不具合な韓日関係が両国の未来に悪影響を及ぼすことは避けなければならない。
隣人が憎いからといって無視して生きることはできない。政府が外交的な名分だけに固執して、より大きい実利を失う愚を犯さないことを望む。
(元載淵(ウォンジェヨン)論説委員、1月25日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。